第9話 火の大精霊
精霊の森にある結界の前まで来たジン達は、ユキに秘密を打ち明けた。
「ユキ、これから見る事は内緒だからね?」
「うん!わかった!」
結界を破壊したジンを見て、ユキは驚いて、すごいと褒めていた。そのあとは手分けして採取を行い、シルフィにはメイ以外の4人で挑むことにした。メイには結界から出たところで錬金を行ってもらっていた。
「よーし、ユキはちょっと見ててな!リンはまずヘイトを取って、引きつけたら俺が攻撃するから、ミーコはユキの護衛な。」
「「「わかった!」」」
そこからは前回の慣れもあったのか、危なげなく順調にクリアしていき、尚且つメイが回復薬を量産してくれる為、周回スピードも上がり、ユキのレベルも25になりそうになった頃、今日初めての金箱がドロップした。
「うぉおーー!21回目にして初の金箱!!!!よし、俺がクランリーダーだからな!空けてもいいよな?」
「うーん、ユキも空けたことないから空けてみたい。ダメかな?」
うっ、これは仕方ないんだからね。別に可愛さに負けたとかじゃないから。
「そっ、そうだな!前回は俺が空けたし、いいぞ!ユキ空けていいぞ!」
「やったー!ジンお兄ちゃん!大好き!」
「グハァッ、そうかそうか!よーしもっと金箱ドロップさせるぞ!」
リンとミーコの視線が痛かったが、全く気にしない事にしたジンはユキが空けるのを眺めていた。
「うぁっ!なんか変な玉!」
「それは、、、まさか、精霊の玉?!!」
「なによ!その精霊の玉って!」
「リン!お前知らないのか?精霊と契約するときは本来ランダムなんだが、この精霊の玉を使えば、自分と適性のある精霊の中から選ぶ事ができるんだ!」
「ジンお兄ちゃん、これすごいもの?」
「あぁ!もちろんすごいぞ!てか、これを見つけるまで、もうちょっとかかると思ってたから言ってなかったが、ユキには精霊と契約してもらうぞ?」
「えっ?!ほんと?マギちゃん見たいな精霊と?」
「うーんっと、それはちょっとわかんないんだが、精霊にも色々いるからな、だが、ユキが契約してもらうのは、火の大精霊イフリートだ。ちなみにかっこいいお姉さんだぞ!」
九尾の狐のジョブは火属性に適性があるし、上位職だから、確実にイフリートと契約できるはずだ。
「ふぇー、イフリート姉ちゃんに会ってみたい!」
「いいぞ!じゃあ、レベルも上がりきったし、メイも呼んでイフリートと契約するか!」
ジンは前回ドロップした精霊の宿木をユキに渡し、精霊の玉を持たせ、精霊を呼ぶ言葉を教える。
「せいれいよ、われとともに」
すると、辺りに無数の精霊が現れた。すると、ユキの目の前に、他の精霊とは違うオーラを纏った精霊がいた。
「イフリートお姉ちゃん?」
こてっ。と首を傾げながら聞くユキに、みんなが、可愛い。と思っていると。
「はぁっん!かわいい!この子と契約するわ!」
さっきまでのオーラが無くなったようにユキに抱きつくイフリート。なんとその瞬間辺りに光が起き他の精霊が消えていった。
「イフリート姉ちゃん痛いよぉ。」
「はっ、ごめんね?許して?」
「大丈夫だよ!ユキと契約してくれるの?」
「はぁっ、優しいわね、もちろんよ!ユキに仇なす者は全て燃やしてあげるよ?」
「ふふ、ありがとね!イフリートお姉ちゃん!」
「そうだ!イフリート姉ちゃんって長いからユキちゃんに名前決めてほしいな?」
「うーん、じゃあ、イブお姉ちゃんは?」
「うん!最高にいい名前だわ!」
うーん。なんか、ゲームで見てたイフリートと全然違ったのでびっくりしてしまったが、ユキと仲良くなったようでよかった。
「ユキちゃん、イフリートと契約できた?」
「はい!できました!それとジンお兄ちゃん、イフリートじゃなくて、イブお姉ちゃんですよ!」
「お、おう、そうだな、イブ!ユキの所属してるクランのリーダーをやっている、ジンだ、よろしく。」
「あら、あなた精霊と契約しているわね?なんでもっと早くユキと会わせなかったのかしら?事と次第によってはタダでは済まないんだけど?」
おいおい、なんでこんな女ヤクザみたいになってんの?!そんな綺麗な顔で真顔は怖いんですけど。
「俺とユキが会ったのは今日が初めてだったんだよ。それで精霊の玉手に入れて、宿木もユキに渡したから、これが最短だったんです。はい」
「イブお姉ちゃん!ジンお兄ちゃんいじめちゃダメ!ジンお兄ちゃんがいなかったら、イブお姉ちゃんにも会えなかったんだよ?」
「はぁっ、そうだったんですね。申し訳ございません。ユキちゃんに会わせてくれたのなら、あなたは恩人ですね。」
「あ、うん、それでいいんだが、大丈夫なのか?精霊を顕現させるの辛くないか?」
「うーん。キツくないです!MPも減ってないです!」
「はっ?そんなことあるのか?」
「あー。それでしたら、ユキとずっと一緒に痛いと思い、常時顕現のスキルを獲得しました。」
うん?常時顕現?!あったか?そんなの、いや、ハイエルフが使役する精霊が確かそんな感じだったような。
「まさか、ハイエルフと同じ契約をしたのか?」
「あぁ、そうですね、他の精霊たちはハイエルフのような愛想のない奴らが好きでしたね、無いことも無いんですが、精霊が気に入った者には対等以上の契約を結ぶんですよ。その代わり、死ぬかもしれないってデメリットもつきますけどね。」
まじか、ゲーム時代もそんなルールがあったのか?それにしてもこれは凄いぞ。常時顕現の何が凄いって、毎回、魔法に精霊が上乗せで攻撃してくれるし、精霊自体の魔法もMPを必要としない為、とても強いのだ。その代わり、さっき言っていたような、死ぬ可能性だったり、MPを使用しない代わりに、クールタイムがとても長かったりする。いや、それでもやっぱり強い。凄いぞ!ユキちゃん!
「そうか、ユキは史上最強の九尾の狐になるな!ワッハハハ!」
「うーん、ユキはよくわかんないけど、イブお姉ちゃんとずっと一緒って事?」
「そうですよ〜!ユキちゃんとは一生一緒に居ます!守ります!」
「やったぁ!!でも、ユキもイブお姉ちゃんの事守るね!」
「うぐっ。なんて可愛らしんでしょう。じゃあ離れたらダメですね、手を繋ぎましょうか!」
「うーん、ジンお兄ちゃんと繋ぎたい!」
「なにぃ?!そ、そうだな、手繋ごうか。はっ?!!」
「ジン様?まさか、私からユキちゃんを奪うおつもりですか?」
「いや?そんなわけないじゃないか!ユキ?イブお姉ちゃんは召喚されたばかりなんだからユキがそばにいてあげないと寂しいだろ?イブのところ行ってあげて?」
「そうだね!イブお姉ちゃん手繋ごう?」
「はい!お姉ちゃん嬉しいです。」
やばい人を呼んでしまったかもしれないな。
「ねぇ、あれってもしかして、ユキに戦わせようとしたら、ブチギレるんじゃない?」
「あはは、あり得そう。でもその時はジンくんがきっと説得してくれるよ!」
「ジンくん!その、あの、頑張ってね!」
やばい、3人から早々に生贄にされた。いや、流石に精霊なんだから、戦う事くらいわかるよな?っと、フラグを踏んでしまったジン。
「なんでこんな可愛い子に戦わせようとしてるんだ!!!」
と、シルフィとの戦闘中切れたのだが、うまくユキが「お姉ちゃん手伝って」と言ってくれたので助かったが。あれは確実に魔法発動しようとしていたので、肝を冷やしたジンだった。
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