第8話 九尾のロリっ子?


 打ち上げが終わり、次の日の朝、ジンは九尾と会える楽しみで目が覚めた。


「いやぁ、まさかこんな近くに九尾がいたとはな、よっしゃあ!今日もやる事がいっぱいだぜ!」



 昨日と同じく初級迷宮へ向けて歩いているとオロオロしている、狐人の子供がいた。


「ん?どうしたんだ?迷子なのか?」

「へ?お兄ちゃん、ここどこかわかる?」


 まさかのお兄ちゃん呼びに狼狽えてしまった。だがしかし俺は大人だ。


「うっ、ああ知ってるぞ!ここは初級迷宮の入り口だ!」

「ほんと?よかった!ここで待ち合わせだったんだけど、知ってる人がいなくて困ってたの」

「そうか、俺も待ち合わせだから、一緒に待っといてやろう!」

「やったぁ!お兄ちゃんありがとう!私の名前はユキだよ!ユキって呼んでね!」

「おう!ユキちゃんよろしくな!俺の名前はジンだ!ジンでいいぞ!」

「じゃあ、ジンお兄ちゃんって呼ぶね!」

「うぐっ。そ、そうだな、そう呼んでもいいぞ!」


 やばいぞ、まさかのお兄ちゃん呼びだが、何回言われてもこの威力か、この子只者じゃないな。


「あれ?ユキ?ジンくんも、なんで一緒にいるの?」


 そこへ、リンがやってきた。ん?なんだ、ユキちゃんと知り合いなのか?へっ、まさか、この子が九尾なのか?


「ん?ミーコはジンお兄ちゃんの事知ってるの?」

「知ってるもなにも、ジンくんがユキの事誘ってくれたのよ?」

「へっ、そうなの?やっぱり、ジンお兄ちゃんは優しいです!ユキ1人だと戦えないから困ってたの、だから、助けてくれて嬉しい!」

「お、おう、そうか、それじゃあ、ユキが九尾なのか?」

「うん!この前、お母さんと同じ九尾のジョブについたんだけど、自信がなくて、困ってたの。」

「そうか、それなら俺に任せとけ、俺がしっかり九尾として自信が付くよう育ててやる!」

「ありがとう、ジンお兄ちゃん!」

「へぇ〜。ジンお兄ちゃんね〜?まあ、仲良くなってたんならそれでいっか?」


 うむ、ミーコからの怪しい視線があるが、断じて俺はロリコンではない。ただ、お兄ちゃん呼びが嬉しいだけなのだ。うむ。


「そっ、それじゃあ、5人揃ったらクラン結成の届け出出しに行こうか!」


 それから程なくして、メイ、リンと合流し、クラン結成の届け出を出しに向かった。

 クランとは、迷宮探索者や生産職の人たちなどが5名以上集まる事で出来る集団であり、迷宮に登録する事で、迷宮内でのクラン同士の連絡やセーフティーポイント内にクランハウスの設置などが出来る。他にも様々な特典があるが、クランを大きくする為には、迷宮に実力を認めさせないといけない。それは、迷宮内の探索者系のクランは魔物討伐数でわかる。生産職系のクランは探索者が使うアイテムが多いほど迷宮に認められる。そのどれもがポイントとして数値化されており、そのポイントを利用して、迷宮自体と取引ができる仕組みになっている。

とりあえず、目指すはクランハウスの設置を目指していく!





 迷宮学園のクラン受付に着いたジン達はクラン結成の手続きをする為に受付に向かった。


「すみません、クラン結成の手続きをしたいんですけど、」

「はい、こちらで受付させていただきます。それではこちらをご記入ください。」


 クラン結成の紙には、クラン名、探索者クランか生産職のクランのどちらかと、クランリーダーとメンバーの名前だった。クラン名だが、みんなに相談しないといけない。


「ごめん、みんな言うのが遅くなったけど、クラン名なんだが、【無我】なんてどうだろう?ただひたすら最強を目指す、って意味で。」

「おぉ!ジンにしてはやるじゃない!」

「うんうん、ジンくんいいセンスしてるよ!」

「ジンお兄ちゃんはかっこいいです!」

「私もいいと思います!」

「おっ?ほんとか!よかったー、じゃあこの名前にするな!」


 ゲーム時代に作ったクランの名前そのままだけど、この世界でも最強を目指すってならこの名前がやっぱりいいって思ってしまったし、みんなに否定されなくてよかった。


「はい、ではこれで登録させていただきます。そのままクランの説明をさせていただいてもよろしいですか?」

「はい、よろしくお願いします。」


「では、まず初めに、クランには4つにランクが分けられています。まずは、Dランク、クランハウスを持たないクランです。最初はここからスタートになります。次に、Cランク初級迷宮にクランハウスを持っているクランになります。そして、Bランク、中級迷宮にクランハウスを持っているクランになります。最後にAランク、上級迷宮にクランハウスを持っているクランになります。これまでで何か質問はありますか?」


 へぇー、これはゲーム時代には無かった要素だ。だが、ゲームみたいにまとめサイトなどがない為このランクがあるのはありがたい。


「はい!このギルドハウスってどうやったら手に入るの?」

「そうですね、次の説明で話すんですが、まず、迷宮学園にある迷宮はなんらかの方法で繋がっています。というのも、クランを登録してからのモンスターとの討伐が迷宮には全て計算されています。そして、そのポイントでギルドハウスや色々なアイテムを購入することになります。他にもポイントを貯める方法といえば、クラン戦ですね、ですが、これはCクラスになってからのシステムになります。他に何かが質問はございますでしょうか?」


「いえ、大丈夫です。みんなは大丈夫か?」

「「「大丈夫です。」」」


「それでは説明を続けさせていただきます。ここ、迷宮都市では月に2回ほどオークションを開催しております。そのどれもがランク事に別れており、参加できるのは自分のランクの一つ上までとなっております。そして、出品するのは自分のランクのオークションでしかできません。以上で説明を終了させていただきますが、何か質問等ありました、お聞きください。」


 みんなに、目配せすると、頷いていたが、本当にちゃんと聞いていたか疑問が残る。まあ、ほとんど俺が覚えてるしいいか。


「はい、問題ありません。」


「それでは、クランバッチを渡します。これを着けて迷宮に入る事で、迷宮内に認識されます。ちなみに、一度認識されると外してても大丈夫です。それではこれで受付の方は終了になります。次は、ランクが上がった際には報告に来てください。」






 クラン結成の手続きを終えたジン達は早速、初級迷宮前に来ていた。




「よーし、みんなバッチ着けたら、中に入るぞー。今日の目的は全員レベル25までだな。メイ!MP回復薬は作ってきたか?」

「うん!昨日で作れる分は作ってきたよ!」

「よーし、今日もまずは採取からだ、そして、メイは25までいったら、昨日と今日採れたやつでひたすら錬金してくれ!」

「わかった!でも、言うの忘れてたけどもう、25なっちゃったよ?」

「ん??そ、そうか、なら今日は錬金に回ってくれ!メイの回復薬があれば周回効率上がるからな!」

「そうだね!頑張るよ!」


 そうだった、生産職は魔物を倒すだけじゃなくて、生産でも経験値獲得できるんだった。それに、素材も中級の素材だし。そりゃあ、経験値多いわ。

 そんな事考えながら、ジン達は精霊の森の結界前に来ていた。



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