第6話 レベルアップ?


 ステータスを確認し終えたジン達は精霊の森へと足を踏み入れてみた。


「お!みんな、アイテム袋は持ってるか?魔力草に、薬草もあるよ!よーし、みんなまずは採取からだ!」

「こんなにいっぱいあるけど、全部とっていいのかな?」

「いいって、いいって!だってここ俺らしか知らないし。。」

「ああー!ジンくん悪い顔してる!」

「ハッハハー、全部取るぞ!根こそぎ採取だー!この先には魔力水もあるから汲めるだけ汲むぞ!」


 とは言っても、また明日になれば復活すれば元に戻るので気にしないのが1番である。




「よし、あらかた集まったな、明日からメイはこの採取したものを使って錬金しまくるぞ!」

「ええ!まだ錬金釜持ってないよ?!」

「大丈夫だ、今日のドロップの売却で買える」

「いいの?あんまり役に立ってないのにお金まで分けてもらって。」

「何言ってんだ?生産職なんだから戦闘じゃなく、生産で役に立たないと意味ないだろ?それに、安心しろ、きっとこの中で1番重要なポジションだから!」

「そっか、うん!ありがとう、ジンくん!」

「よっしゃ!初のボス戦だが、さっき行ったこと守って生きとけよ?」


 ジン達はそのままボスがいる部屋まで向かっていった。ここ、フロントスフィアの精霊の森には3次職レベル50推奨のボスが出てくる。その名前【シルフィ】風の大精霊であり通常なら中級迷宮の中階層の徘徊ボスになっているが、相手がフロントスフィアより先に進んでいない場合は能力値だけが半分になるようになっていた。なのでゲームでは先に始めている人から装備を借りたりして最初のスタートダッシュにはうってつけの相手だったのである!



「いやぁ、まさか、こんなとこで会うとはな、中級迷宮ではレアドロップ欲しさに探しまくってたのを思い出すぜ。」

 だが、そのおかげでジンはシルフィの行動パターンを全て覚えていたのだった。


「ギャラリーも心配そうに見てる訳だし、サクッと倒しますか!」


 ジンは早速スピリットオーラを使いバフを使いスピリットソード放った。

「うぉっしゃあ!ダウン取ったぜ!」

 そこから数回のダメージを与えると、シルフィが起き上がって風の刃を3回飛ばしてきたので、に右に3回避けていく。

 この回避こそ、ジンを最強プレイヤーに押し上げた技術の1つである。


「それじゃ、当たらないぞー?おらぁ!おらぁ!」

 後はこれを数回繰り返していくと、シルフィのHPが30%を切った当たりで、第二形態へと変身していく。だが、この変身中が最大の攻撃チャンスであり、ジンはそこに合わせてMPを回復するようのである。この相手の行動を全て頭に入れ完璧に計算された動きを行える事こそが、ジンのプレイヤースキルの高さを物語っていた。


「よっしゃあ!スピリットオーラ!スピリットソード!」

 ダウンを取ったジンはそこから最後に数度のダメージを与えて、シルフィは光となって消えていった。


「終わりだな。よぉーし、ドロップは何かなー?おっと、どうした?」


 背中に衝撃がはしり、振り向くと、メイが抱きついていた。


「ジンくん!おめでとう!すごかった。とにかくすごかったよ!」

「おお?そうか?そうだなすごいだろ!わっははは!」

「呆れたわ。本当に1人で倒すとは。」

「見てるだけで経験値だー!すごいよ、もう、レベル5まで上がっちゃったよ?」

「うそ?私、レベル7になってる。」

「えっ?まじ?あ!そっか、忘れてた。」


 このゲームではジョブのランクによって、レベルアップに必要な経験値が変わってくる。なので、ジン、リン、ミーコは同じランクなので必要経験値は同じ、メイは2ランク下なので3人よりも少ない経験値でレベルアップできる。いやーまさかそんな初歩的なこと忘れてるとは、、アドバンのトッププレイヤーとして恥ずかしいことしちまったぜ。


「ねぇ!ジンくん金の宝箱があるよ?」

「なにぃぃ?!金箱だと?!!今行く!」


 迷宮ではボス級のモンスターを倒した後に宝箱のドロップがある。宝箱の種類は4種類あり、初級〜上級までは基本的に、木箱、銀箱、金箱の3種類が落ち、最上級では、木箱、銀箱、金箱、虹箱の4種類が落ちる。そして、もちろん確率は、木箱〜虹箱に向けて出る確率は落ちていく。金箱と虹箱は、本当に稀にしかでず、出てくるアイテムもユニーク級の物が多く、それを狙ってゲーム時代には何週間も周回したりしていた。そんなレアなものが初撃破でゲットできるなんて。。


「うわぁ!初めて見た!金箱!!ねぇ!空けていいでしょ?」

「ばかやろう!これは俺が初めて倒したボスだぞ?当然俺に空ける権利がある!」

「ふん!いいわ、今回は譲ってあげる。」


 さあさあ、ここ、リアル世界のアドバンに来て、初のドロップが金箱とは、幸先がいいぜ。ゆっくり空けてこの時を噛み締めるか。





「へ?」





 そこに入っていたのは、金の斧と銀の斧だった。





「出たぁぁーー!!!金ちゃん様!」

「えっ?なになに?すごいもの?」

「ジンくんそれすごいの?」

「何言ってるんだ!リンにメイ!これ以上にすごいものなど無い!跪くんだ!」


 こいつはすごいぜ。いや、もう少し後でゲットしようと思ってたんだが。。。このアイテムは、ゲーム時代上位パーティなら必ずと言っていいほど持っていたアイテムだった。このアイテムの効果は持っているだけでレア箱のドロップ率を上げるアイテムだ。しかも、装備スロットを使わない為、パーティなら誰が持ってても大丈夫という、最高のアイテムなのだ。





「やべぇ、リアルが最高すぎるぜぇ、よぉし!もう一回だ!結界から出るぞ!」


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