第3話 初の迷宮


「よーし!今日から初の迷宮なんだが、誰だ?君は?」 


 初級迷宮の入り口で待ち合わせをしているといきなり俺の前でこちらを見ている獣人の子がいた。


「私の名前はミーコ兎人のジョブは【怠け人】だよ」



 な、なに?獣人の怠け人だと?!まさか、

ベルフェゴールか?いや、まて、とりあえず落ち着いて話をしなければ。



「おお!いいジョブにつけたんだな!」

「そうなの?みんな、お前なんかいらないって言うけど?」

「いやいや、バカ言っちゃいけない!獣人族が就けるジョブの中で最高峰じゃないか!」

「へぇ〜、このジョブの意味がわかるんだ?」


 ん?なんだこの感じ急に寒気がきたぞ?


「ああそうさ、もちろん大罪系の中でもとっても使いやすいからな!」

「決めたよ、今日から一緒に潜ろう?レベル上げを手伝ってほしいな?」


 くっ、これが美少女の上目遣いってやつか。

破壊力抜群だ。俺でなきゃクリティカルだな。


「俺に任せとけ!ちなみにクランに入るってことでいいんだよな?」

「おお〜!男前ー!うんうん!いいよー!入っちゃう入っちゃう!」


 いやー、美少女に腕を抱きつかれるのは幸せだなぁ、んっ?なんだ誰かから睨まれているような?


「何してんのよ!あんただれよ?!てか、さっさと離れなさい!」

「んぁあ、もう、あと少しだったのに!」

「な、何があと少しなのよ!あんたも、鼻の下伸ばしてないでシャキッとしなさい!」

「ああ、悪い悪い!そうだ紹介するぞ!3人目のメンバーだ!兎人で怠け人のミーコだ!」

「よろしくねー!ジンくんに捕まえられちゃったー、てへっ?」

「まあ、少し変なとこあるが4人目のメンバーだ、仲良くしてくれ。」


 納得のいかなそうなリンを横目で見つつ、そこは大人のスルースキルを発揮し、初級迷宮に入るためのパーティ申請を行った。

 初級迷宮のパーティは、2〜5人まで申請でき、魔物を倒すことによる経験値はパーティに入っていれば誰が倒しても均等に割られる事になっている。ちなみに、中級は最大8人、上級は最大12人、最上級は18人パーティを組むことができる。ジンのゲームでの理想クランメンバーは50人で、ここでもそれを目指していくことにしている。










初級迷宮1F-フロントスフィア-

「うぉー!帰ってきたー!」

 やべー、マジで久しぶりだ、多分3年はここに来てなかったな。おー!リアルではやっぱ空気が気持ちいな!

 ここフロントスフィアでは1年を通して非常に過ごしやすい気候をしていて、は出てこないこともあり、街ができている。


「あんた何言ってんのよ?初めで来たんでしょ?」

「ああ、悪い悪い、住んでた街に似ててな!」

「そう?ならいいけど、とてもいい街ね!」


 あぶねー、気をつけないとな、リンに変なやつだと思われたが、まあいいか!ここではまず、取りに行くものがあるしな!

 フロントスフィアにはこれからの攻略を助けてくれる装備が落ちている場所やレベルを上げできる場所が存在する。


「よし!みんな武器は持ったかー?これからまず、フロントスフィアの探索をするぞ!」

「えー?2Fに向かうんじゃないの?」

「ミーコの言いたいことはわかる、だが!まずはこのフロントスフィアを知り尽くしてからでも遅くはない!ってことで、ここからはちょっと別行動な!2時間後にまたここで会おう!」


 そこから、逃げるようにフロントスフィアの街外れにある森の中に走った。


 よしよし、確かこの辺で、おっ?あったぞ!

森に入って進んでいくと、そこにはゲーム時代課金アイテムだった、精霊の宿木が落ちていた。

 この精霊の玉だが、テイマー系以外のジョブで味方を作れるので、ゲーム時代も重宝されたアイテムだった、他にも天魔の杖や、妖精の羽や、聖獣の卵などがあるが、これらは使用するジョブが決まっており、しかも、天魔や聖獣は使役できる全てがユニークという、破壊性能を持っている。だが、精霊と妖精は成長することができる為、ユニークを獲得することができれば、天魔や聖獣に匹敵する事になる。

 しかも、精霊に関してはジョブによって、確実にユニークを手に入れることができる為、このアイテムを取りに来た。ジンもゲーム時代、精霊の宿木でユニークを獲得しており、今回手に入る精霊も確定している為わくわくが止まらなくなっていた。 




「よし、最強を目指す上でまず必要な物をゲットできたぞ!」




 精霊に関してはもう少し奥で使うとして、次は装備だな。村の英雄になれたら行かないといけないけど、あの装備をここで手に入れられるかー。やばいな、強すぎるんじゃないか?




 お!あるぞ、この家だ。うーん、やっぱり、まだないか、仕方ないか!とりあえず、このアイテムを使うか!

 ジンは精霊の宿木を持って、呼び出すためのセリフを言った。

「精霊よ、我と共に」

 恥ずかしいセリフを言った途端、宿木から溢れんばかりの光が起こり、目の前に現れたのは胸までの高さしか無い、綺麗な顔をした子供だった。

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