第1話 迷宮学園

「ここが迷宮学園だな。いやー、リアルだと思うとなんか、感動するな」

 そう思いながら、学園の中に入っていくと新入生歓迎の横断幕と共に受付らしきものがあったのでそこに向かってみることにした。


「すみませーん、今年入学予定なんですけど」

「あーはい!ここで入学証受け取りますね!」

 言われた通りに入学証を受付のお姉さんに渡したら、何やら準備を始めたので周りをよく観察してみることにすると、新入生と思われる人たちが沢山いた。

「さすがに人が多いなー。みんな俺と同じなのかな?」

「はい、この時期にここら辺にいるのは大体新入生ですよ!この学園の説明はしますか?」

「はい!お願いします!」

 大体この学園のことは知ってはいるが、何か変わってるかもしれないと思い、説明をお願いすることにした。

「まず、この学園は迷宮都市にある、初級、中級、上級をクリアする人材を育てるため、この大陸にいる16才から19才までの人が所属しています。この中では基本的に実力が全てとなります。」

 ん?初級、中級、上級?最上級は?嫌な予感がしたので聞いてみることにした。

「今迷宮は何層までクリアしてるんですか?」

「最前線のクランが今、上級の30層で止まっています。」

 え?嘘だろ?ん?どういうことだ?確かに31層から40層は攻略が厳しいとはいえしっかりと対策をすれば問題ないはずだが。

「転職は何回まで行えますか?」

「え?転職は5回までですけど?」

 あー。そうか。なるほど。わかったぞ。俺はこの世界に必要な情報を全て持っている。とりあえず入学までにあのジョブを手に入れることにするか!

「わかりました!いろいろ教えてくれてありがとうございます!」

「いえいえ〜、これも仕事ですので。では、この制服とカードをお渡ししますね、入学式当日はこれを持って来てくださいね!あ、あと、学舎の方は本日からご利用されますか?」

「はい!今日からお世話になろうと思います」

「でしたら、学舎の方でこのカードを見せれば部屋が割り振られると思うので、早速行ってみてくださいね〜」

 








 いやー、とりあえず学舎に来てみたはいいけど、何をするか迷うなー。ゲーム通りなら入学までは迷宮に入れないし、とりあえずあのジョブを取るために条件を達成するか!







 まずは一つ目の条件の人助けだな。ゲームの時はサブクエストがいっぱいあったから楽だったんだがなー。あ!あんなところに道に迷ってる女の子がいるぞ!


「どうした?道に迷ったのか?」

「は、はい。初めて村から出てやっとここまで来たんですけど、学舎がわからなくて迷ってしまって。」

「うん!いいところにいたね!俺が案内してあげるよ!こっちだよ!」

「はゃい」

 案内するために女の子の手を握り歩き出すと顔を赤くしながら返事をした彼女を無視して学舎に向けて歩き出した

「よし!ここが女子の学舎だ!カードは持ってるかな?」

「はぃ、持ってます。あります。」

「そうか!出会えて良かったよ!俺は入学予定のジンだ、よろしくな!」

「え、あ、はい、同じく入学予定のメイです。」

「じゃあ、これから行くとかあるからまたな」

 

 よし、今日で終わらせるぞー!


「次は10体以上の魔物から囲まれて生き延びるか、確か迷宮学園の施設に魔物戦える演習場があったはず。」

 そうして、演習場まで来たのはいいが。


「まさか誰もいないとはな。いや、それはいいんだが、どうやって演習場に魔物を出現させるのか全くわからん。確かゲームでは先生が何か操作してたのはわかるが。」


「ねえ、」

「ねえ!ねえーってば!!」


 なんか後ろがうるさいな。振り返ると銀髪の女の子が顔を膨らませながら立っていた。

 

「あー、なんだ?俺か?」

「そうよ!なんであんなに無視するのよ!」

「え、だって俺に声かけてるってわからなかったから。」

「あなたしかいないじゃない!」


 いやー、銀髪かー。うーん、まさかだよな?


「えーっと、すまない、今日この学園に来た、ジンだ。よろしく?」

「ふん!早くモンスター出しなさいよ!」

「え?無理だ」

「はー??なに?私の言うことが聞かないっての?」

「あーそういうことじゃなくて、」

「まさかこの、イチジョウ・リンをバカにしてるの?」


 まじか、まさかだった。イチジョウ家、このアドバンの世界にある国の侯爵家の名前だ。 


「いや、そういうことじゃなくて、使い方がわかんないんだ。」




「そういうことならハッキリ言いなさいよ!」

「すまん、で、リンは操作できるのか?」

「で、できるわよ!」 

 

 そう顔を赤くしながら操作したのだが、何やら演習場が結界に包まれて赤くなっていった。


「おいおい、大丈夫なのか?触らないほうがいいんじゃ」

「うるさいわね!ミスしちゃったじゃない!」


 そう言って出てきたのはゴブリンが30体 


「うそ、だろ、おいおいおい、俺らが負けたら学園内にゴブリンが出ていってしまうぞ!」

「いや、どうしよ、ねえ、戦えるんでしょ?助けてよ!」

 

 そう言ってリンは泣きそうな顔をしながら言ってくる。

 いや待てよ、まあ、想定外だが、この体がどのくらい動くのか確かめる機会かもしれん。


「まあ、仕方ない、任せておけ!」


 そういうと、リンは少し安心したのか、表情が少し良くなった。


「よーし、来い!リハビリ開始だ!」


 まずゴブリン30体だが、今回は上位種がいない為統率が全く取れていない。なので、隅の方で結界を後ろにして、戦うことにした。ゴブリンのような人型の魔物はクリティカル判定の場所が多いため、STRが低くても比較的倒しやすいので、今回は全てクリティカルを狙っていく


「よーし、まずは一体目!」





 順調に数を減らしていき最後の一体を倒すと結界は消えて、魔物も全ていなくなっていた。







「あ、あの、その、ごめん、」

「いや、気にしなくていいぞ、結局目的は達成できたから。」

「そう、ありがとう。」

「じゃあ、もう、夕飯の時間だから先に行くな!」

 

 


 よーし、条件もクリアできたし、飯も美味かった!今日はいい1日だったな。まさか、100層のボス戦を終わった後に初期ステでゴブリン30体相手にするとは思ってもなかったぜ。

 明日はジョブ獲得して、その後は攻略のためのパーティメンバー集めか、とりあえず、タンクとヒーラーは欲しいな、後は生産職の錬金術師だな、とりあえず明日もやることいっぱいあるぞー、




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