KAC20247の作品 レーツェレストの錬金術師 番外編
鈴木美本
『レーツェレストの錬金術師』番外編『パステルカラー』
コリーウ、セイール、ハースト、アルテア、ヘリオライト。
彼女たちは、なぜか集まっていた。
魔力を解放したコリーウはパステルピンク、セイールはパステルブルーに、髪と瞳の色が変化している。ハーストは、いつも通りのパステルパープル。アルテアはパステルグリーンで、パステルイエロー(クリーム色)の服まで着ている。ヘリオライトはオレンジの髪に金の瞳。自分だけパステルカラーではないことに、なぜか違和感を覚える。
そして、よく考えてみたら、異世界エルヴィスドニーの竜族の友人も、みんな白とパステルカラーの服ばかりだった。ドニーはパステルグリーン。ロニーはパステルブルー。仲良くしてくれた
ヘリオライトは、いつもドニーに迷惑をかけていたが、彼はいつも平然としていた。
ロニーは暇になって遊びに行くと、いつも話し相手になってくれた。
ハーストたちだって、いつも優しくしてくれていた。
ハーストは話しかければちゃんと答えてくれたし、自由にさせてくれた。
アルテアだって、いつも何かを教えると、ちゃんと覚えてお礼を言ってくれた。
コリーウだって、優しく接してくれていたし、セイールもクールに見えて優しい性格だった。
みんな優しい──。
心があたたまった気がした。
「にゃあ」
ヘリオドールが金色の尻尾を揺らして鳴いた。
金色に染まった体をいつものように抱き上げ、ぎゅっと抱きしめる。
「にゃあ?」
今度は不思議そうに鳴いた。
ヘリオドールは、きっと首を傾げて見ている。
目を閉じているから見えない。
「ヘリオライト!」
名前を呼ばれて顔を上げると、そこにはフレッドたちが立っていた。
ルビーレッドのフレッドに、白のワイトとソフィア、黒のビリア。サファイアブルーのフォーリヒ、銀のオリヴィア、金のセイン、黄色のフラヴィア。最後に、白のカモミール。
みんなが笑っていてくれる。
それが、言葉にできないくらい、心があたたかくなる。
大好きな人たち。
この人たちを護りたい。
どのくらい生きられるかなんて、わからないけど……。
🌈 🌈 🌈
目を覚ましたヘリオライトは、両腕を伸ばし、背中と腰をぐっと伸ばす。
暖かな日差しを浴びて、彼は周りを見渡す。
隣には金色の猫「ヘリオドール」と白い犬「カモミール」がいて、近くには新しい家がある。
──ヘリオドールとカモミールと遊んで、疲れて寝たんだっけ?
そう思い、改めてヘリオドールとカモミールを見る。
ヘリオドールは丸まって気持ちよさそうに体を上下させて寝ているし、カモミールにいたっては疲れて真横に倒れたまま寝ている。
ヘリオライトは思わず笑ってしまいそうになるが、口を手で押さえて何とか我慢する。
──起こしたら、可哀想だな。
ものすごく気持ちよさそうに寝る2匹を見て、ヘリオライトは微笑む。
そのとき、遠くからいい匂いが漂ってきた。
──そういえば、おやつの時間か?
最近は、ハーストが趣味でお菓子作りまで始めていた。
こちらに来てから自炊することも増えたことと、この前、お土産で作った「いちごミルクの素」をみんなに喜んでもらえたのが、ただ嬉しかったのだ。
そして、この時間になると、いつもお菓子のいい匂いがするようになった。
いつもこの時間になると、もうそろそろ……。
「ヘリオライト! ヘリオドール! カモミール!」
「おやつの時間だよ~!」
「わかった! 今、行く!」
ヘリオライトは2匹を抱え、ハーストとアルテアの元へ走る。
──行く先から幸せな甘い香りがした。
KAC20247の作品 レーツェレストの錬金術師 番外編 鈴木美本 @koresutelisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます