後来:種類様々
いくら私がコトニワに詳しく、たくさんの資料を集めて引き継ぎ、それをいつでも確認できる生き字引であるルールがいたとしても、流石に7年以上前の記憶だ。忘れていることだってある。
それに、「本物」といってもシステム的に、ブログパーツが最新技術のオープンワールドになってるんだ。フリアドナイズされている時点で、何かしら変更点はあるだろう。むしろ、無い訳がない。
だからだな。
「何でもかんでも持ち込まれても困るんですよ。しかもこれに至ってはボックス様ではなくて他の神の遺物ですし」
「それが一目で分かるから持ち込まれるんじゃねーっすかね」
フライリーさんの正論には聞こえないふりをさせてもらおう。
なお私が何をやっていたかって言うと、例によって資材の運搬係だ。コトニワ世界にいる間は大体「再建」してるからな。探索してる間は、探索するより周辺警戒しながら領域スキル展開してるし。
で、何が持ち込まれたかって言うと、一見すると底まで丸いお皿とか持ち手の無い盾とか、そういう感じの曲線を描く平面だ。黒くて艶々した石のような物で出来ている。つるんとしていて、模様のような物は何も無い。
「で、一目見てこれが他の神様の遺物って分かった先輩。何か情報出すとしたら何っすか?」
「私より詳しい人は他にもいるでしょうに。……可能性が高いのは2つですね。真っ白い灰か生の湧き水を入れてみてください。反応があった方の神の遺物です」
「火系の神様か水系の神様っすか」
たぶんそうじゃないかな。と思いつつ調べるポイントというか、調べ方を伝えると、その黒い皿みたいなものを持って来た人は頷いて……何故かそのままついてくる。何故ついてくる。
フライリーさんは私と同じく運搬係だ。魔力が高いって事は、インベントリの枠が多いって事だからな。軽いものをたくさん持ち歩くのであればかなりの容量があるから。
「ちなみに先輩」
「なんでしょう」
「それ、どっちも反応が無かったらどうなるんすか?」
「……どちらかで反応があるとは思いますが、それ以外って事になりますね」
何でフライリーさんが代理で聞いてくるん? と目を向けると、直接話をすると護衛の人達がっすね。という視線が返ってくる。あー、そうか。そうだな。なるほど。皇女が直接応答するのはダメなのか。コトニワ世界でも、代理対応できる人がいるならそうするのが正しい姿か。
なら面倒だが仕方ないか……。と納得したところで続ける。
「どちらかに反応すれば、守護の権能を持つ神の遺物です。普通に運用してもいいですし、神殿を作ってそこに収める事で復活の足掛かりにしてもいいでしょう」
「ふむふむ」
「ただどちらにも反応しない場合は、創造の権能を持つ神の遺物です。取扱注意ですので、ボックス様か“ナヴィ”さんにお伺いを立てた方がいいです」
「……前から思ってたっすけど、この世界の創造の神様って割と加減下手っすよね」
「神代のまま崩壊してますから、そんなものでしょう」
コトニワ世界での、創造の権能を持つ神の一派がアレなのは……まぁ、一番最初の創造の神がそもそも、その、あれだし……。
で、ぺこ、と頭を下げて下がろうとした、黒い皿のようなものを持って来た人達。
「ただもう1つ」
「え、まだあるんすか」
「可能性としてはものすごく低いんですが、ゼロじゃないので一応言っておこうかなと……」
「……まぁ、普通に有り得るっすもんね。そういうの」
もうちょっと聞いてくれ。
それ、爆弾の可能性がゼロじゃないんだ。
「真っ白い灰と、生の湧き水。これの
「既に説明がヤベーっすし大体察したっすけど、一応理由聞いていいっすか?」
「当然、それの由来が破壊の権能を持つ神にあるからです。まともならまだマシなんですが、暴走している方だと文字通りの意味で爆弾です。私も過去に1度引っかかって痛い目に遭いました」
「あ、爆弾ってその、どっちかっつーと物理的な意味での爆弾っすか?」
「そうですね。しかも単純に爆発して終わりじゃない辺りかなり厄介ですし」
その頃には「庭」の区画もそこそこ増えていたから、中央区画と防衛区画では無かったものの、それを調べてた区画が丸ごと吹き飛んで更地になった上、ルフィルとルフェルが大ダメージを負ったからな。
ルージュが次の遠征に出かける前に結果が出たからその場で何とかできたものの、あれでルージュが出かけた後だったら……まぁ、中央区画にも被害が出てただろう。防衛区画の内側だったから。
「……コトニワ世界、油断ならねぇっすねぇー……」
「神の力だけで、守護神、創造神、破壊神の3種類ある上に、破壊神は暴走しているかしてないかで更に分かれますからね」
油断ならないんだよな。本当に。
ルージュが「とりあえず殴ってから判断しよう」ってなるのも妥当だろ?
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