後来:嵐の聖地14
一応は皇女として認められた訳だし、竜族の聖地っていうのは無視するのは論外として、情報は伝えておかなきゃダメだろと、こっそり速報は送っていたんだよな。もちろん「第一候補」がさらっと言っていた「啓示があるかも知れない」っていうのも含めて。
私はだいぶ感覚が麻痺している、と、周りからちょいちょい指摘を受けているので、啓示や託宣に関する予告はいくらあってもいいのかなと、かなり早めに可能性を伝える事にしていた訳だが、どうやらそれで正解だったようだ。
「そしてその託宣をもって、皇女ルミナルーシェ・ロア・ヴェヒタードラグ及びその動きに追従、協力する召喚者への全面協力を決定。ついては細かい事を決めるから早めに空いてる日の連絡よろしくと。なるほど、分かりました」
「お嬢」
「どこか解釈間違えてました?」
「砕け過ぎだ」
でもそういう事だろ。ちゃんとお返事はしっかり形式を守った文章を書くから大丈夫だ。
で、その予定をクランメンバー専用掲示板で共有したところ、御使族の方から「第一候補」にも似たような連絡が来てたらしい。だから竜族と御使族が協力して動く事になる訳だな。
私が関わってる案件こんなのばっかりだなと思うが、それはまぁ、私が竜族の皇女だからだろう。普通は竜族も御使族も、こんな風に動く種族じゃないし、協力して動くって言うのもかなり相当珍しい事の筈だから。
「まぁこれも
「本当か?」
何故かエルルに妙な心配をされている気がするが、「皇女」としての立場を求められる時はちゃんとしてるじゃないか。心外だな。
なおその話し合いがあったという事は広く知られたし、その内容はほぼ公開された。一部具体的で流出するとまずい情報、まぁ主に警備体制だな。その辺りは非公開だったが。
まぁその非公開部分とその理由もざっくり概要は伝えられたので、何で公開してないんだって文句は極少数にとどまった。その極少数は、元『本の虫』組で何かしているらしい。……対処、ではなく、何か、である辺り、本気だろう。何がとは言わないが。
「まぁ治安維持の人手はいくらあってもいいですからね」
「……」
なおエルルは黙っていたが「治安維持を任せて自分は突入するつもりだなこの降って湧いた系お嬢」という視線だった。ははは、種族特性は便利だなぁ。言っても聞かないどころか正面から肯定するから黙っているだけだろうし。
参加人数が増えるとそれだけ用意しておくべき消耗品の量は増えるんだが、既に「第四候補」には追加注文を出したし、「拡縮石」はフル稼働状態だ。元になる「超濃魔力スープ」は、スープを作って耐熱瓶に入れて、そこに骨を突っ込んでから私のインベントリに入れておけば勝手に出来る。
たぶん本来ならすごく時間がかかるんだろうし、何なら途中でダメになる可能性まであるんだろうが、その辺をすっ飛ばして短時間で最良の状態になる
「お嬢。あれは本当にどうにかならないのか」
「……他の部位だと、もれなく重篤な状態異常が付くんですよね」
「あれもついてるだろ」
そうだった。ポーション中毒っていうのは状態異常だな。たぶんかなり重篤な奴なんだろう。流石に試してはいないが。
ん? という事は他の部位というか素材も、こう、上手く加工して効果を薄めると言うか数と引き換えにすれば、まぁまぁ使える素材になる可能性がある?
「お嬢」
「流石にあれだけの素材をただただ破棄しろとは言えませんし」
「……だが」
「素材としての性能は絶対的にいいのが分かっているから、何とか平和的に活用しようとしてるんじゃないですか」
いやまぁ、処分するだけならそれこそ、封印魔法を重ね掛けた上で超々高火力の魔法をぶちかまして塵も残さず消し飛ばしてしまえばいいんだが。
それをするには、ちょっと性能が良すぎるだろう? 今も素材が保管されているって事を考えると、私が貧乏性なだけ、っていう訳じゃないのは明らかだし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます