後来:嵐の聖地7
さて、ここまでの話がヴィントさん達の事情であり過去であり理由であり、前提だ。もちろん話が終わり次第ヴィントさん達の両親を含めた、嵐属性のドラゴンの人達のケアはするが。
たぶんドラゴンブレスと一緒で、限界を超えて属性由来の力を行使すると因子スキルに影響が出るんだと思う。【変異の因子】か【竜の因子】のどちらかは分からないが、その辺りをしっかり強めたご飯を食べてもらうとしよう。……いや【精霊の因子】って可能性もあるか。一応嵐の精霊さんにもお見舞いに行ってもらえばいいかな。
で。前提の話が終わったところで。
「そんで、その島で話を聞いた限り、あの島での戦いは何回も起こっているし、戦いが起こるたびに封印が緩んでるらしい。……すまねぇ、殿下。独断専行どころじゃないし、規律違反をいくつしてんだって話なんだが。もう少し動く自由をくれねぇか」
ぐ、と頭を下げるヴィントさん。フリューさんもそれに倣う。
うん。うーん。これは、あれか?
もしかすると
「ダメですよ?」
好感度を稼ぎ切れてなかったか……?
と思う内心はともかくとして。まさか否定されると思ってなかったのか、ヴィントさんは目を丸くして顔を跳ね上げた。それに、小首を傾げて続ける。
「あの島は元より竜族の聖地です。そもそも、あの敵と戦うには
「は……?」
「第一、戦いが起こるたびに封印が緩むと言っても、その試行回数は現時点で万を優に超えているでしょう。単独で出来る回数では無い以上、人数を集める事は必須です。独断専行については最初に許可を出していますので規律違反ではありませんしね」
え、と続いた呟きはほとんど吐息だった。そんなおかしな事を言ったつもりは無いんだが。というか、
「私達が全員で一丸となって当たり、外部にも応援を求めるべき事項です。それでもこの年越しに間に合うかどうかはかなり厳しいですが、それはまぁいつもの事ですし」
「ま、まてまて殿下。だがこれは、うちの一族の問題で」
「ヴィントさん達一族だけの問題で済まないから言ってるんですよ。あなた方は説明者であり、先導者であり、中核です。あなた方抜きでは始まりませんが、解決に足るとは言えません。不足です。手数も戦力も」
「……お嬢」
流石にその言い方はどうなんだ。と副音声の付いたエルルの声が聞こえたが。事実だろ? 少なくともヴィントさんだけだと、今度の年末には間に合わない。
そう。つまりは恐らく、そういう事で、そういうサブクエストだ。期限はリアル年末まで。クリアの為の最低ラインは不明。もちろんオーバーしてもいいが、
「あなた方のやるべき事は、私達にとっても無関係ではありません。海の温度を下げて生態系への影響を防ぐ、それ以上に、聖地の復活がかかっている。それは、竜族という単位での悲願なのですから」
ま、もちろん他にも、年末という節目で何か特殊なサブクエストが稼働している可能性はある。実際さっきカバーさんと話してた時も、そんな感じの動きというか人数募集というか、そういう感じの動きがいくつかあったし。
そっちにもどうやらカバーさんがざっと調べてくれた感じ、種族とかに関わる結構大事なサブクエストが含まれてるようだから、何らかの形で支援したいところというか支援するつもりだが。
それはそれ、これはこれだ。
「頼りなさい。ヴィントシューネ・ブリーゼ。あなたは私の、直属部隊の副隊長でしょう。私が、そんな位置にいる相手の直訴を無視するとでも思いますか」
何しろ私は、うちの子が最優先だからな。
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