地球の自転と血液の色とボーイミーツガール

枠井空き地

その色には見覚えがない

 地球は今も回り続けている。 

 今この瞬間にも、新しい生命が誕生し、そして死んでゆく。

 

 そんな中で僕はといえば…………見た事のない色を見つめていた。


 地面に横たわっていた。顔はアスファルトのデコボコした感触を捉えている。そしてその表面には僕が今まで見たことがない色の”絨毯”が。 それは赤、いやそれでは足りない、黒が混ざり合、見ていると引き込まれそうなほどの真紅―――それは血だ。誰の?僕の、だ。


 何が起こったのか、いま何が起きているのかもわからない。 ただ血の仄かな暖かさに体が包まれ、少しずつ意識が遠のきそうだった。僕は”それ”をかき消してしまわぬように必死でこれまでに起きたこと、そして目の前で起きていることを把握しようとした。少しでも作業をし続けていれば「眠くなる」ことはないからだ。

 

 学校からの帰り道、人のような狼のような―――詳しくはないが確か人狼ウェアウルフとか言うらしいバケモノが目の前に唐突に現れ、一緒にいた“彼女”もろともその毛むくじゃらの拳に胸を貫かれた。

 そうだ、彼女だ。僕はこの日この夕方、彼女と一緒に帰り道を歩いていたところだった。彼女、いやは他のクラスメイトとはどこか違う浮いた存在だった。そんなあいつは何故か僕を気に入っていた(「なんか似てるから」らしい)ようで、こうして学校の帰り道で他愛もないことを話すことがよくあった。


 しか、そのあいつは今、胸を突かれたにも拘らず、平然と立っていた。それどころか化け物の攻撃を颯爽と交わし続け、攻撃の隙を見ると鞄の中からショットガンを取り出し、連射したのだ。何発かくらい、たまらずソレが逃げ出した後彼女は俺に駆け寄ってきた。

「ごめん、私の血がかも知れない……たぶん元には戻せない、かも……」

 彼女の服にあいた穴からは、やたらと白い彼女の肌が見えるばかりで―――傷は完全にふさがっていた。

「なんだよ、それ……」

 地球は今も回り続けている。

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地球の自転と血液の色とボーイミーツガール 枠井空き地 @wakdon

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