醒めぬ夢、無情な現実 起
前回のあらすじ
カフェ出る
↓
菫子、折れる
↓
連れてかれる
↓
事務所着く
↓
諸々の説明を聞く
↓
菫子、決意をする
数日後、何事もなく平日を乗り切り休日を迎えた
しかし……
土曜日の朝、インターホンが鳴る
静かな宮川家にインターホンが鳴り響く
「誰だ、こんな時間に」
菫子がドアスコープを覗くと
ドアの先には
「か、神崎さん?」
「やぁ、菫子」
「依頼が来たよ」
「依頼?」
啓人がいた
どうやら近くで香澄も待機しているらしい
事務所に着いた
啓人と菫子が各自のデスクに座ると香澄が前のホワイトボードで説明し始めた
「今回の依頼人は
「あれでさとるって読むのか……」
「かなり珍しいですね」
「依頼内容は家族の捜索」
「捜索?なんで俺らに?」
啓人が聞くと香澄が答える
「どうやら、現在依頼人は病院から動くことができないみたい」
「ほほぅそれで俺らに?」
「その……詳しい内容って?」
香澄と啓人が2人で話している隅でそよそよしく菫子が尋ねた
「内容は~」
香澄がホワイトボードに内容を書き込み始めた
「依頼人、葛城 理。年齢は16歳で職業は学生」
「去年の春に都内の高校に入学してる。内容は家族の捜索」
「んで?なんで病院から依頼が来たの?」
待ちくたびれたように啓人が言った
「それがどうやら……」
車内
「事故で入院……ですか」
現在、依頼人の葛城に直接会うため香澄の車で病院へと向かっている
「そう、どうやらテーマパークに向かう途中で崖から車が落下したとのこと」
「テーマパーク?崖に建てられたテーマパークなんて聞いたことないけど、どこに行こうとしたんだ?」
「神崎さんが覚えてない?」
啓人は生まれてから現在に至るまで全ての物事を記憶している
「聞けば、ティスミーランドに行こうとしたらしい」
「ティスミーランド!?事故現場からは遠回りだぞ!」
「どういう事ですか?」
「え?ティスミーランド行ったことないのか?」
「えぇ…まあ、あまりテーマパークに縁がなくて」
その時、啓人は寒気を感じた
菫子の顔がひどく、冷たく、暗い表情を浮かべているからだ
「(この件は触れない方がいいか)」
「まぁ、その辺は直接会って聞きましょうか」
病院、305号室
表札は葛城と書かれている
「依頼人はここか」
啓人が扉を3回ノックした
「どうぞ」
中から若々しい声がした
啓人が扉を開けると、そこには20代前半にも見える青年がベッドに横たわっていた
「こんにちは。あなた達が依頼した探偵さん達でいいですか?」
「はい。私たちがご依頼承りました、宮川探偵事務所助手の篠川 香澄と」
「え!?」
菫子はギョッとした
いつの間に事務所名なんて決めたのか
それよりも
「(名前ダサ……)」
そんな菫子を置き去りに
「同じく探偵助手の神崎 啓人です。」
「そして、こちらが当事務所の探偵!宮川 菫子です」
「ちょ、何勝手に…」
菫子は焦りながらもぺこりとお辞儀をした
「名前の件は後で聞くから((ヒソッ…」
「むぅ……」
菫子は納得の行ってない様子
「あの……そろそろ良いですか?……」
なぜだか申し訳なさそうに葛城が口を開く
「あぁ、ごめんない。なんせ初依頼なものでして」
「いえ……問題ないです」
葛城は少し困った顔を浮かべながら答えた
「それでは、詳しい依頼内容をお聞かせください」
「わかりました」
香澄がそう聞くと葛城は依頼内容を事細かく説明した
「わかりました、さっそく調べてみます」
啓人はそう言って葛城の病室を後にした
「ねぇ、どう思う?」
香澄が啓人に向かって言った
「どうって…意味が分からない」
葛城から詳しい依頼内容を聞いた
しかし、葛城の証言と香澄が調べた内容が大きく食い違っていた
香澄の調べでは葛城はテーマパークに行く途中で事故を起こし入院
だが葛城の証言ではテーマパークに行った記憶が存在し、気が付いたら病院のベットで横になっていたとのこと
「菫子はどう思う?」
啓人が聞く
「……嘘は言ってませんでした。むしろ本気で家族に会いたがっているようです」
「根拠を聞いても?」
「な、なんとなく…です(さすがに色でわかりますと言うわけにもな…)」
「ふーん」
なにやら含みのある言い方をする啓人がエレベーターを乗ろうとすると1人の男性がエレベーターから駆け足で降りてきた
「わ、すいません」
男性は啓人の方に軽くぶつかり軽く謝罪をした
それどころではかの無いように
「いえ、こちらこそ」
啓人は笑顔で返し正面を向いたと思うとすぐに切り返した
「ちょ!啓人!?なんで戻るの?」
「気になることが出来た。着いて来て」
「え、ま、待って」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます