第33話 ついに今度こそ決着!!

「ふぎゃぁっ?!」

 予想外の事に驚いたのだろう、ムーニーは素っ頓狂な声を上げ、ドラゴンを一歩二歩後退させた。

 一度口の中に入れて多少は温度が冷めているかもしれないが、熱い事には変わらないようで、ドラゴンのボディが段々ぎこちなくなってきた。

「な、なに……なにこれ? 操縦が……きか……な……」

 モニターに映るムーニーの顔が歪み始め、姿が見えなくなってしまった。

「ケホッ! ケホッ!」

 さすがに源泉を口に含んだせいか、口内どころか喉まで焼けるように熱かった。

 けど、咳き込んでいる場合ではない。

 私はヨロヨロと立ち上がって、二体のドラゴンの首を掴んだ。

「うおおおおおお!!!」

 私は出せる限りの力を使って引っ張った。

 ドラゴンは抵抗しようと両腕をバタバタさせていたが、体重をかけたおかげか、ブチッと引っこ抜く事ができた。

 その反動で尻もちをついてしまったが、すぐに立ち上がって、この取れた首を武器にして振り回した。

 やはり、鋼鉄で出来ているだけあってか、光る目を壊したり鉄板みたいなのが剥がれたりしていた。

 「おりゃりゃりゃ〜〜!!」

 私はこれでもかというくらい叩いた。

 モニターが割れ、残り六つの頭があらぬ方向に曲がっていった。

 胴体もボコボコになっていった。

 モニターが映らなくなったせいか、ムーニーの声は全く聞こえないが、懸命に腕を動かして反撃しようとしているのは分かった。

 さらにドラゴンの口から電撃を四方八方に放っていた。

 が、どれも私に命中しなかった。

 私は二つの首を捨て、もう一度源泉を口に付けて含ませ、霧吹きした。

 それが効いたのか、ドラゴンの動きが徐々に小さくなっていき、錆びたブリキ人形みたいにカクカクと動いた後、静かに停止した。

「ふんっ!」

 私は割れたモニター部分に思いっきり拳をぶつけた。

 何度も何度も叩いていると、その近くで何かちょこまか動いていた。

 よく見るとムーニーだった。

 どうやらもう戦えないと踏んで、私がドラゴンに夢中になっている間に逃亡をはかろうとしていたらしい。

「逃さない!」

 私は王国に向かって走って逃げようとするムーニーを人差し指と親指の爪で摘むと、私と同じ目線まで持って来た。

「離せ! 離せ!」

 豆粒みたいに小さい彼女が何か叫んでいたが、全然聞こえなかった。

「観念ゴホッ! ビホッ! ゲホッ!」

 この咳は小さいムーニーにとっては強烈な連撃だったらしく、耳を塞いで怯えた顔をした。

 そして、ジッと私の方を向いて、ガクッとうなだれた。

(私の勝ちだ)

 そう直感し、思わず笑みがこぼれた。


 さて、ムーニーを摘みながらピグマーリオに戻ってきた。

 城壁をまたいだタイミングで段々目線が低くなっている事に気づいた。

「ヤバ……」

 私がそう言ったのも束の間、爪の先で掴む事ができたムーニーが徐々に掴めなくなり、ついに指から離してしまった。

「うわあああああああ!!!」

 たちまち悲鳴を上げて落ちていくムーニー。

 私は彼女が落ちる場所を予想しながら走った。

 気づけば元のサイズに戻っていて、彼女を見失ってしまった。

「ムーニケホッ、ゴホッ、ケホッ……」

 私は呼びかけようとしたが、源泉を口に含んだせいで、喉が焼けるように熱く、まともに声を出そうものなら、思いっきりむせてしまった。

 咳き込みながらも懸命に彼女を探した。

 万が一ペチャンコにでもなったら、王子の居場所を聞き出せなくなるからだ。

 すると、ガシャンと何かが割れる音がした。

 急いで音がした方へ向かうと、地面にバラバラになった何かが飛散していた。

 キラキラ光っているからガラスか。

 コップが落ちた?……いや、違う。

 ガラス以外にもネジや赤と緑色のコードが付いたもの、色鮮やかな塊などが転がっていた。

 黒い板みたいなのを拾って見てみると、脳裏にある映像が浮かんだ。

 お城の地下空間で拾った手のひらサイズの本……『家はあっち』という文字が浮かんだりしていた……。

「あああああああ!!!」

 私は人の目なんか気にせずに叫んだ。

 今、散乱しているこれは王子様の居場所が分かる道標。

 それが今ではあられもない姿となっている。

 という事はもう探せられない?

(そ、そんな……せっかく王子様の……手がかりが……)

 私は全身の力が抜けてしまい、その場にへたり込んでしまった。

 が、どこからか「おーい!」と呼ぶ声がした。

 辺りを見渡しても、それらしき人はいなかった。

「こっち向けやああああ!! 末っ子ぉおおおお!!」

 この一言で誰か分かった。

 頭上から聞こえて来たので、見上げてみると、教会の三角形の屋根に垂れ下がっているムーニーがいた。

「おーーい! 降ろしてーーー!!」

 ムーニーが珍しく私の方を見ながら助けを求めていた。

 うーん、どうしよう。

 このまま無視して……いや、駄目だ。

 王子様の居場所を知っているのはアイツしかいない。

 助けないと。

 私は急いで教会の頂上まで駆けて、窓から屋根を伝い、今にも落ちそうになっているムーニーの腕を取った。

 そのタイミングで白衣がビリっと破けて、危うく落ちそうになった。

 ムーニーは白衣を脱ぎ捨てて、ラムネ色の肌着を露わにさせた。

 どうにか安定した所まで引っ張り上げると、お互い息を荒くしてホッと息をついた。

「……どうして助けたの?」

 ムーニーがか細い声で言った。


↓宣伝の妖精からのお知らせ

うわあああああああ!!!

ひぎゃああああああ!!!!

ぬほぉおおおおおお!!!

うにゃあああああああ!!!


ダダダダダッ!!

ダダダダダダッ!!


クソッ! クソッ!

倒してもキリがない!


うらららららら!!!

ぐらららららら!!!


ダダダダダッ!!

ダダダダダダッ!!


はぁ……はぁ……はぁ……ふう。


あ、皆さん、こんにちは。

チュピタンです。


突然ですが、この作品の登録はお済みでしょうか?

まだの方がいらしたら、ぜひご登録をお願いします。


また、この作品を面白いと思ったら、ぜひ星とハートをください!


さて、感想ですが……チッ、奴らが来た。


うららららら!!!

おららららら!!!


ダダダダダダッ!!

ダダダダダッ!!


ふぅ、えっと、あの……八つの頭のドラゴンロボットが倒せて良かったですね。


ふぅ……ふぅ……はぁ、ようやく収まった。

まさかこの宇宙船が奇怪な生命体がたくさん乗っていたなんて……。


"乗っていた"っていうよりは、"乗っ取られた"っていう方が正しいか。


所々に人の死骸があるし。

この武器も人間が使っているやつだし。


さて、これからどうしよう……地球に帰っても捕まるだけだし……よし、操縦席に行ってみよう。


船を乗っ取って、月に行ってみよう。

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