第97話 船長室

惑星レリックへの移住希望者の募集が地球で始まり、地球のSNSとかでは結構な話題になっていることをタキオン船団側のニュースで知った頃。黒猫に招待され、船長室へと向かう。過去にシウラさんに呼ばれて船長室には入ったことあるけど、船団番号1も船団番号31もサイズ感や基本的な部分はほとんど変わらないんだな。


まあ内装は結構違うというかこの辺はシウラさんと黒猫のセンスの違いか。今日はユリクリウスとセットで呼ばれているので、まあ完全にペア扱いだな。


「何だかんだでシャドウの拠点へ毎日行き、サポートロイドのレベリングを真面目にやってるお二人さん。一応、目に見える成果というものを見せたくなったから呼んだだけだよ」

「大事な話とかではないのか。……それ、銀河系のマップ?」

「正解。現状、黒く濁って見える銀河はシャドウに占領されているところだな」

「……滅茶苦茶多くない?」


自分達が結構頻繁にシャドウの拠点へ行き、シャドウを狩ってるからその成果を見せたいとのことなんだけど、どうやらこの1週間で自分とユリクリウスのペアはシャドウの拠点となっていた星系を4つ分浄化しており、これは銀河系の500分の1程度となる。いやシャドウの占領地域多すぎだろ。


実際のマップで見ると、黒く濁って見える領域の中に一部白く光っている惑星がある。あ、今何か脅威度を区切る線が追加された。奥というか、シャドウが占領している地域のど真ん中は最高ってなってるけどこれシャドウの本拠地と同程度の評価じゃねーか。


そしてそんな占領された地域というのが無数にあり、マップをドンドン拡小していくと、黒い円が幾つもある。……これ、自分とユリクリウスが浄化した地域って相当小さくない?あと現在進行形で濁り始めている惑星がかなりあるから、相当必死にならないと盛り返さないでしょこれ。


「上の方にあるパップ星間共同体やエドゥキア連合体ってのはタキオン船団とは別の勢力か」

「別の勢力だし、ここら辺も独自にシャドウへの対抗ということをしている。

……でまあ、その二つはタキオン船団に対して非難声明を出している敵対国だな。というかタキオン船団が思っていた以上に銀河の敵」

「いやまあ当たり前だろ」


ユリクリウスがマップの上の方にタキオン船団とは別の勢力があることに気付き、その別の勢力はタキオン船団と敵対関係にあることを黒猫は教えてくれる。当たり前だろとか言ってしまったけどタキオン船団のした所業を考えるとまあ当たり前。


ついでに、この二つの勢力は勢力圏がかなりシャドウに削られているんだけど両方とも四角の領域の中に黒い丸がある感じだから黒丸の日本国旗みたいな感じになってるな。これでもまだ削られ方がマシな勢力で、本来ならもっとコミュニティがあったはずなのにシャドウのせいで滅んでいる。


……いやシャドウを生み出したのがタキオン船団なら銀河の敵状態になっているのも理解出来るわあ。それでいて、当のタキオン船団が逃げる前提なのえげつない。


技術力的にはタキオン船団の方が優位であり、他の銀河コミュニティではキャンプ船のようなどこにでも自由にワープ移動出来る乗り物がないらしい。……ワープ自体は出来るけど、その距離も精度もインターバルもタキオン船団より遥かに落ちるとか。


あらゆるところに黒丸や、黒丸が集合して巨大な領域になっている銀河の危機的状況なのに重要技術の公開をしない辺りタキオン船団はマジタキオン船団してると思う。……自分とユリクリウスが浄化に成功して行っている領域は、地球から一番近い黒丸部分。その黒丸の、先端部分にちょっとだけ黒色じゃないところが出来ただけ。


「これ抵抗出来てるんだよね?」

「一応な。この黒丸から地球方面に飛来するシャドウは全部狩れているし、反抗も出来ている状態だから今は拮抗している」

「……他の幼女同盟のメンバーはどこで狩ってるんだ?」

「脅威度高を選んでレベリングしている連中はこの黒丸の中央に近い場所で狩ってるから……こことか浄化出来てるな。あとは地球から2番目に近い黒丸の、ここら辺とか」


ユリクリウスが他の幼女同盟のメンバーがどこで狩っているか聞いて、その成果も見て行くけど多勢に無勢って言葉がこれほどピッタリなの無いと思う。……でも一応、地球を中心にある程度シャドウの拡大は防げているというか反抗出来ている状態だった。


ここら辺は、船団番号31でしか戦ってないらしい。つまりは、タキオン船団がいなくなっても地球を中心にある程度の年数耐えることは確定してる感じか。それならまあ、タキオン船団が逃亡する時、一緒に逃げるという選択肢はない。あとは地球組から、どれだけ戦える人が出て来るかだけど……たぶん黒猫はそこに期待してないから、サポートロイドに全振りしてるんだろうな。

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