第35話 レベル上限

各種温泉を堪能したところで、フレンドのレオから個チャが入る。……自分とユリクリウスの高校時代のリア友であり、一時期は一緒にふおにをプレイをしたことがあるが、大学進学を機に辞めた友人である。ついでに遠方の大学への進学となったので、あまり連絡は取り合ってなかった。


[レオ:急でごめんだけどレベル上限解放クエストの手伝いお願いしても良い……?]

「クロワッサン:おー、良いぞ。というか幾つのやつだ」

[レオ:レベル80のやつ]

[クロワッサン:一番面倒な奴か。ユリクリウスも誘ってみるわ]


ただのフレンドなら断っていたところだけど、流石に高校時代一緒に何度も遊んだリアルの友人を見捨てるわけにもいかないので手伝う。ついでにユリクリウスにも声をかけたらOKだった。こいつも優しいな。


……まあ、自分とユリクリウスの交友関係は駄々被りしてるし、数少ない友人は大事にしたい。自分の知らないところで死んでたりしたら超嫌だし。自分もユリクリウスも、リアルの友人の数は片手で数えられてしまう。


このゲームは各レベル帯でレベル上限があり、レベル20、40、60、80、100の各段階で素材集め系の上限解放クエストがある。20以外は結構面倒なクエストで時間がかかるため、120のレベル上限解放クエストがなくて本当に良かった。


一旦自分とユリクリウスとレオでパーティを組み、パーティチャットの方で話し始める。……地味にこれレオもTSしてるんだよなあ。元のメガネゴリラの姿を知っているから凄い違和感あるわ。今はただの可愛い金髪ツインテール眼鏡っ子だし。


「いや本当に助かるわ。一人だとたぶん心折れてた」

「レベル上限解放クエストは毎回頼って来てたし今更だろ。

80レべの上限解放ってことはまず紅龍の珠か。クロワッサンは壁よろしく」

「あ、そうか。地味にペロ率高い奴じゃん。

……これレオが一回も死なずにクリアするの難しくね?」

「クロワッサンが全攻撃避けずに受けてたら何とかなるだろ」


レベル上限解放クエストは3個のクリア条件があって、まずは紅龍の珠というグランドドラゴンが落とす素材が必要なんだけど80レべだと非常にペロリやすいというか何なら100レべでもペロる。ゲームだと即蘇生出来るから問題ないんだけどこの世界だと問題大ありだな。


仕方がないのでショップで検索をすると1個500万ゴールドにまで値が上がっていた。え、ゲーム時だと50万ゴールドも出せば条件の3個を買えたのに、30倍に値上がりしてる!?


[ユリクリウス:ああくそ、紅龍の珠そんなに値上がりするなら狩りまくれば良かった!]

[時雨:レベル上限解放のやつだよね((+_+))?

紅龍の珠だけじゃなくて深海の杖とかも爆上がりしてるよ($・・)/~~~]

[ゼル:誰かの手伝い?一応在庫あるよ?]

[クロワッサン:自分とユリクリウスのリアフレだからもう自分達で狩るよ。

……あれクエスト受注している時じゃないと落ちないんだよな]


紅龍の珠は、レベル上限解放クエストを受注している時にグランドドラゴンを倒すことで1個落とす。これを3回繰り返すわけだけどゲームだと1周5分ぐらいで終わるから15分ぐらいでサクッと集まった思い出。……3回もあのドラゴンにレオを突っ込ませるのかあ。


「レオは遠距離職何か育ってる?」

「テイマーが65で他は40レべ台……」

「それならもうソードマンのままで良いからガードスタイルに切り替えて来た方が良いよ。

……唯一育っているのがソードマンである意味良かったかも」


ユリクリウスがレオに遠距離職の提案をするけどソードマンの80レべと比較して明らかに低いからもうソードマンで戦わせるしかない。元々最高レベルが65レべの時代で引退しているのでソードマンだけでも80になっているのはレベリング頑張っているんだろうけどその他の職のレベリングまでは手が回らなかったのだろう。


……まあ自分の影に隠れてさせていれば基本的には大丈夫なんだけど、あいつの攻撃の中で地面から火柱を立てるのだけは庇えないのがなあ。


「かわせる……?」

「避けるだけなら大丈夫だと思う……」

「なるべく最短で俺が倒すから、何とか合間に一撃入れてくれ。

っとそうだ。全職用のライフルあったわ」

「よしじゃあそれで一撃は入れられるな」

「あ、それなら持ってるからトレードは大丈夫。

……ソードマンでライフル持つの新鮮だ」


何かもう完全に養殖になってるけど事故率高いししょうがない。ここら辺、ふおにの森は徹底的にPSを鍛えて4人パーティで挑ませるのかな。


そしてクエストに挑むけど、ユリクリウスが僅か10秒でグランドドラゴンを倒したので成長し過ぎている。レオがギリギリ1発ライフルを当てれてて良かったなこれ。そのまま3回繰り返したことで、最低限の数は揃えた。


「じゃあ大丈夫そうだし周回するか。クロワッサンは変わらず壁よろしく」

「え……もう数は揃ってるけど」

「そんなに時間取らせないから大丈夫。1時間ぐらい周回したら余ってる紅龍の珠は全部……いや1個残してユリクリウスに渡してくれ」


予想以上にハイペースで狩れるのでユリクリウスがそのまま周回モードに移行し、1時間で合計65個回収出来たのでユリクリウスが60個を受け取り、分け前として自分は18個を受け取る。……全部市場で売り捌くには時間がかかるだろうけど、かなりの金策だなこれ。


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