第26話 タイムアタック

コロネのレベリングを行い、歓迎会をした日の翌日。今日はサーバー対抗戦に出るためにTAを行う。いや、今は船団対抗戦か。サーバー同士、30人単位でのPVPということで基本的には上位のプレイヤーしか出来ないイベントだった。サービス終了前は、過疎鯖だと時間帯の都合とかで参加希望が30人に満たない場合もあったけど……。


TAはタイムアタックの略で、サーバー対抗戦に出るためには特定のTAで上位30位までに入らないといけない。まあ走る人が1鯖の場合は選ばれた30人で固定されているし、幼女同盟の枠に選ばれているので必然的に上位30位以内が確定です。


ちなみに一度だけふおにの森のメンバーから「幼女同盟の枠12人が多すぎる、制限無くせ」という声が上がったために制限を撤廃したことがあったけど、その時は上位30人のメンバーが幼女同盟17人、ふおにの森13人という結果になったんだよね。完全に真逆になる現実を突き付けられたふおにの森から、その後文句は出て来てない。どちらかというと、こっちの枠をもっと増やせと言いたい。半々で良くないかな?


[クロワッサン:そう言えばケルビンさんがふおにの森8に居たぞ]

[ユリクリウス:あー……水野さん?]

[クロワッサン:そうそう。今46レべだった。なんかユリクリウスとも話しをしたいとか言ってたぞ]

[ユリクリウス:え、俺あの子苦手。陽の者オーラが強すぎる]

[クロワッサン:実際陽だったから仕方ないだろ。まあ個チャ入れといたら?というかユリクリウスとケルビンさんってフレンドだったっけ?]

[ユリクリウス:水野さんからフレンド申請なんて来てなかったが?あいつ3日ぐらいで辞めてなかった?]


ついでに個チャで、昨日会ったケルビンのことをユリクリウスに話しておく。ユリクリウスにフレンド申請がなくて、自分にはフレンド申請をしてきたということは自分に気がある……のではなく、たぶんユリクリウスにフレ申請出せなかったんだろうな。どう見てもあの子ユリクリウスに惚れてたよ。ユリクリウスがガチオタロリコンで話が合わなかったから撤退したんだろうけど。


一旦TAを走る前に、今の記録を確認しておく。1位はユリクリウスで3分58秒か。唯一の4分切りとかやっぱはえーな。もうほぼゲームの時と同じ記録じゃないか。


2位はライトさんで4分1秒、3位はゼルさんで4分3秒と続く。今のところ15人が走ってて、15位はうちのハルさんで4分19秒。まあ指定された30人が弱いわけないからみんな記録良いな。


きっちりとドーピング剤は攻撃力上昇のものを使い、武器だけTA用の銃剣を装備。遠距離攻撃があるかないかだけでだいぶタイム変わるからカチ装備を仕舞うのは嫌な気分になるけど仕方ないね。スロット拡張は8で妥協した装備だけど、火力はこっちの方が出るからね。


今回のTAの会場は『タイムアタッククエスト:VR空間 天国と地獄』の最高難易度でゲームの時は一番難しいTAだった。紙耐久だと一瞬のミスで床ペロするクエストだがVR空間なので死んでも帰還は出来る。まあ選出された人にこのTAで死ぬ人はいないだろうけど。


『3、2、1、ゼロ!』


カウントダウンが0になった瞬間に飛び出し、シャドウを模した敵を次々に倒していく。うーん、132レべになったからかこちらの火力が上がって敵がより柔らかくなった感じしかしないな。あとは配置を丸暗記しているボタンを正確に射撃で攻撃していって、次のステージへのゲートを開く。うん、めっちゃ単純なTA。だからこそ火力とPSが求められるんだけど。


[黒猫:二刀流ユリクリウス強すぎない?誰だ火力バカにこんなスロットスキル渡した奴]

[ユリクリウス:DPSが単純に倍になったのはヤバイと思った。たぶん今ならクロワッサンの防御突破出来る]

[ゼル:戦争おじさんが一瞬で消し飛んだの笑った。斬撃飛ばすやつ強すぎない?ずるいわー]

[ハル:4人で2分2秒www]

[黒猫:今のパーティーならアブダクション起きても良いな。へいかもーん]

[ユリクリウス:ちょ、マジで止めろ]

[ゼル:お、クロワッサンもTA中だ。頑張れー【ゼルのサポートロイド、ゼロのチアコスの写真】]

[ふわわ:TA中に幼女写真を送りつける外道]

[ゼル:【薄着のゼロのローアングル写真】]

[黒猫:この女TAの邪魔に余念がねえ……もっとゼロちゃんの画像下さい]


チームチャットが騒がしいが、中身まで見ている余裕はない。移動しながら銃剣のリロードを挟み、残弾管理をしながら敵を倒す。げっ、ここの敵数変わってるのかよ。くそ、5秒はロスした。


しかもなんか幼女のパンツ画像直接送って来るし、TAの邪魔をするとかなんだこのチームメンバー。まあ敵の発生間隔は同じだし、火力に余裕はあるから画像のダウンロード操作とかは余裕で出来るんだが。132レべの火力は120レべの時の1.2倍ぐらいあるな。基礎ステータスが上がっているのは大きい。


ラストのボス部屋に来るけど、対戦相手は第5章のボス戦争おじさん。VRで敵を再現できる設定って色々と便利だな。なんかこの人は元シアリーだったけど、シャドウに捕らわれてシャドウ陣営の機械惑星に送られ、何だかんだあった末に半ロボット化の改造手術を受けた人。


機械文明とタキオン船団の戦争を望んでいる真っ当な敵です。開幕で威力の高い魔導砲が飛んでくるので、それを普通は避けるんだけど、ダメージを食らいながら直進して戦争おじさんに攻撃を開始する。ここカチ勢のタイム短縮ポイント。これだけで5秒は違う。


「うらぁ!」


ラストはいつものアカツキノヴァに持ち替え、単体攻撃技のオーバースラッシュで決める。単体相手にはこれしか使ってないけどこれ以外に使える技がないという悲しいソードマンの現実。他の技全部DPS的に下位互換だし、他の技使うならオーバースラッシュ連打で良いという。


戦争おじさんを倒したところでタイマーストップ。記録は4分11秒で11位。うわ微妙だ。一桁順位には入れなかったか。でもまあこの後に走る人で上位に食い込むような人はそんなにいないはずだから、15位以内には入るかな。半分より上に来ているなら上出来でしょ。

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