第25話 談合
ちょっと鯖対抗戦での談合具合について確認するため、チームチャットで聞いてみる。
[クロワッサン:黒猫ー。鯖対抗戦はどうするんだ?]
[黒猫:うちからは12人、ふおにの森17人、ゆるゆる同盟から1人に決まった。
どしたの?]
[クロワッサン:いや今の40レべ帯に幼女同盟の強さ全然伝わってないからビビった。一応全鯖2位チームだよね?]
[黒猫:内面はともかく、外面はただのヤバイロリコン集団だからなぁ]
[ふわわ:え、内面もただのヤバイロリコン集団だよね?]
[ゼル:その辺は仕方ないだろうね。ふおにの森が頑張って下位層や中位層を育成しているのは知ってるし……まあ、多少下位層や中位層からの知名度が落ちていたとしても上位層はちゃんとうちらの強さ知ってるから大丈夫だよ]
鯖対抗戦の予定について聞くと、いつも通り幼女同盟は12人の枠。TA上位から30人を選出するのが鯖対抗戦なんだけど、走る人を制限してあらかじめ30人選んでおくのが1鯖のここ数年のやり方だ。こうすれば予定外の人が参加することはないし、鯖対抗戦で勝てば鯖全員に報酬が出るからわざわざ邪魔する人もいない。それでもたまに混じって来るけど、そもそも選出される30人のタイムが良いから滅多にないな。
「……鯖対抗戦って知ってる?」
「それぐらいは教えられたので知ってますよ。今週末にあるイベントですし。サーバー代表の30人による、チーム対抗戦を大きくしたやつですよね?」
「それの出場メンバーをふおにの森が決めてるって知ってるか?」
「はい。確かシャルルさんが決めるって言ってたような……?」
「今回、鯖対抗戦30人の枠の中に幼女同盟のメンバーは12人入る。ふおにの森が17/1500に対して、幼女同盟は12/21だな」
「……何となく強いチームだということは分かったんですけど、そのチーム名どうにかならなかったんですか?チーム紹介文も変態っぽいことしか書いてないですし」
「まあ変態しかいないことは否定できない……」
チーム対抗戦と鯖対抗戦は交互に行われるので、鯖のトッププレイヤーは毎週末にイベントがある状態だな。まあチーム対抗戦とは違って鯖対抗戦はライトさんが味方にいるからめっちゃ楽。全部あの人に任せれば良いんじゃないかな?
[クロワッサン:TA早めに走っておくかー]
[黒猫:若干敵の内容変わってるから注意な。ギミックは変わらないから大丈夫だと思うけど]
[ユリクリウス:『レッドサンアイ2』欲しい。誰か持ってない?]
[ふわわ:それ『アニメ絵アイ:赤』で代用出来ない?無課金ガチャの方だからサポートロイドも使用可能になってると思うけど]
[時雨:今ショップにキャラクリ素材全然ないの辛いそうだね(;'∀')]
[黒猫:ああそれと今回の12人は黒猫、ユリクリウス、クロワッサン、ゼル、ハル、HAKU、時雨、めう、ふわわ、アルタイル、ジョーカー、ビートルな。後でメールでも流すわ。ABCはさっさとレベル上げろ]
[ABC:もう経験値ハイブーストクエストのチケットないです……]
今回の12人の選出の中にはABCさんがいないので、1鯖としてガチで最強面子を集めて勝ちに行くのだろう。ケルビンさんには「お兄さん」さんに幼女同盟がどういう同盟か説明受けといでとだけ言って別れて、マイルームに戻る。流石に68レべからは短期間だとなかなか上がらないだろうし、コロネのレベリングは一旦中止。
マイルームに戻ったら、ゼルさんとふわわさんが入室してくる。そしてコロネちゃんを見るなりまた性癖談義が始まった。
[ふわわ:可愛いけどロリ巨乳……]
[ゼル:ロリ巨乳は何人居ても良い……]
[クロワッサン:またロリ巨乳過激派対ロリ巨乳撲滅派の言い争いが始まる……]
[ユリクリウス:言い争いしてる筆頭が中身女子なの草]
[黒猫:今は大体の奴が女子だがな。
何でお前ら男のケツ見ながらゲームプレイしてたの?]
[ユリクリウス:いや格好良さ求めても良いだろ普通……]
[ハル:俺も男にしておけばよかった……!やっぱり相棒が欲しいよう……!]
[クロワッサン:技術進んでるし生やせるんじゃない?]
[黒猫:ロリの身体に生やしたければチームから抜けてくれないか?]
[ハル:いや俺もこの身体に生やしたくはない……]
最近はこの世界にも慣れて来たのか、チャットの下ネタが酷い。いやそれは元からだったか……?まあ大体の人は良い大人だし、一番年齢が低くても高校生なので大丈夫だろう。あ、ジョーカーさんの妹が居た……。
[マルマルさんがチームから抜けました]
[ジョーカー:妹からふおにの森へ行きますとメール来ました……]
[黒猫:妥当。真っ当な感性を持っている人間はこのチームについていけない]
[ゼル:そもそも女子中学生だったんでしょ?そんな子がいる中でロリっ子最高とか言ってたら避けられるわよ]
[ふわわ:まあふおにの森の方が育成とかもしっかりサポートしてくれるだろうしね]
[ABC:ここは『自分が最強』と思っているプレイヤーが集まってるから育成の手伝いとかはあまりしないよね……]
[ユリクリウス:このぐらいの規模の方が良いというのもある。100人もチームメンバー居たら名前覚えられないし、チャット気軽に出来ない]
[黒猫:今のふおにの森のチームメンバー1569人だぞ。まだまだ加入希望者いっぱいだぞ]
[クロワッサン:この船で生き残ってる地球組、まだ20万人近くいるだろ?これ最終的にチームの規模1万人は行くんじゃね?]
[黒猫:行くだろうな。ただ育成にリソースを割く分は色々と遅れていくと思うぞ]
そして危惧した瞬間にマルマルさんの離脱メッセージが。こういうのって察した時にはだいたい遅かったりするよね。これでまたチームメンバーは20人に戻って、相変わらずの小規模チームである。
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