第23話 サポートロイド

「お、プレゼントボックスが届いた。

……あれもうサポートロイド出来たの?」

「マスターはシウラ様に『特別許可証』を渡されたシアリーなので、こういった注文等は優先されるようになりました」

「うわ出た特権階級。プロフェッショナルの制度を作ったのがシウラさんなら、本当にギスギスさせるのが得意な人だな」


ちょっとブラッドさんの件でうじうじしていると、サポートロイドのチョココロネが届く。うん、今後はコロネと呼ぼう。コッペパンはコッペパンのままで良いや。


結局白が基調のメイド服のような恰好にしているけど、赤髪お団子ヘアとも合うなこれ。ちっこくて可愛い。えーと、初回起動には魔力込めるのか。そんな設定あったんだ。


技を使う時の感覚でMPを込めると、起動し出すコロネちゃん。この手の場面を動画で撮影は紳士の嗜み。おお、動いた。眼をぱちくりさせているの可愛い。


「初めまして。これから旦那様……お嬢様の身の回りのお世話をさせていただきますチョココロネです。どうかよろしくお願いします」

「旦那様で合ってるよ。

こっちはコッペパン。コロネと同じサポートロイドだ」

「マスターは男性です。胸への視線移動回数が多いので健全な男性です。これから先輩サポートロイドとして色々と教えていきますのでよろしくお願いします」

「ええいや待ってあまり見てないと思うんだけど……?」


ロリっ子同士がお互いに自己紹介をし、互いにお辞儀をするまで撮影してチームチャットに流すと早速ロリっ子について性癖談義が始まるので撤退。しかしまあ、コロネは当然レベル1だよな。コッペパンは120レべあるから、この差を埋めるのはとても難しい。


基本的に、クエストの素材集めを任せてクリアさせるとレベルアップをするという仕様だったけど、現実になってからは一緒にクエストへ行くことでレベルアップする姿が確認されている。完全に養殖にはなるけど、コロネは自分とコッペパンと一緒にクエストへ行ってレベルアップさせるか。


となると、4人までパーティーは組めるから誰か誘いたいけどユリクリウスはちょっと今誘い辛いし……適当に野良の人誘ってみるか。最初は推奨レベル40ぐらいのクエストで良いだろ。


そう思って、たくさんあるロビーの1つ、40レべ台推奨ロビーへと足を運ぶ。ゲーム時代の各レベル帯の推奨ロビーは基本的に、そのレベル以下の人が入れなかったので各レベル帯の溜まり場になっていたんだけど、現実になった今でもそんな感じなのかな。


周囲を見渡すと、結構な数の人がいる。40レべ台の人だけじゃなくて、50や60レべぐらいの人もいるな。もうコミュニティとかも出来てそう。


……げ、ここら辺にいる人全員ふおにの森8の人達かよ。確かふおにの森って15まで出来たんだっけ。ということはちょうど中間に位置する人達か。ほーん、40レべ台で中間ねぇ……。


「お、クロワッサンさん、お久しぶりです」

「「おにいさん」さん久しぶりー。今ふおにの森8にいるの?」

「ええ。いもうゲフンゲフン。リアフレが40レべ台だったのでふおにの森8に配属となりまして……色々と教えながらレベリングの手伝いをしているんです」

「まっじめだ。流石シャルルさんが真面目さだけで選んだサブマス……」


ちょっとプレイヤー層について考えていると、ふおにの森1のサブチームリーダーだった「お兄さん」さんが声をかけて来た。今は妹の育成のためにふおにの森8にいるらしい。結構、リアルの知り合いとかも知らないだけで居そうだよね。自分はリアフレ、最後の時はユリクリウスだけだったけど、それまでは結構いたし全員この世界に来てるとなると会って話とかもしておきたいなぁ。


「誰か40レべ台で将来有望そうな子とかいない?サポートロイドのレベリングするんだけど」

「それ完全に養殖になるじゃないですか……。一時的なレベリングなら経験値ハイブーストクエスト受けたらどうですか?」

「ああそれ一応チケット持ってるけど1人限定だろ?」

「ゲーム内だと1人限定でしたけどこの世界だとパーティー単位で受けられますよ」

「マジで!?結構倉庫に溜まってるから全消費……」

「……存在忘れていたなら仕方ないですけど、今だともう全部期限切れてますよね。期限切れチケット10枚で新品1枚と交換出来ますけど、交換カウンターで交換して来たら数十枚の在庫が数枚になりますよ……」


そして「お兄さん」さんに経験値ハイブーストクエストが4人で受けられるようになっていることを教えてもらったのでそちらを活用する。いや経験値の概念が今どうなっているのかは謎だけど、ゲームの経験値ハイブーストクエストはかなり美味しいクエストで100レべに到達しても1回3分で1レべ上がった記憶。


自キャラのレベルの敵が出て来るので、128レべの敵が出て来るということか。うわ、よく見たら「お兄さん」さん初心者の指導もしているのにレベル127だ。これ経験値ハイブーストクエストの存在に気付いてなかった自分が馬鹿なのかなぁ。まさか「お兄さん」に教えられるとは。


とりあえず期限切れのチケットを整理した後に経験値ハイブーストクエストを受注し、サポートロイドを2人呼び出す。1人枠は空いているけど、まあそれは良いや。そして交換して来たばかりのチケットを消費し、クエストを開始しようとしたところで、パーティーに入って来た人がいる。げっ、パーティーにフレンド・チームメンバー限定の鍵をかけたらよかった。


ってあれ?フレンド・チームメンバー限定の鍵はかけてる。じゃあ誰が……?

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