第14話 散々な結果
エマージェンシークエストが無事……無事というわけじゃないけどとりあえず終わったので報酬を回収。どうやらドロップ品はシャドウが身に付けていたものやシャドウのエネルギーを回収して作られているようで、この手の採掘ステーション防衛戦では一旦タキオン船団が回収した後、防衛戦終了時に帰還ポータル周辺へばら撒く形になっているようだ。
報酬の方はまあ武器のレア度が低いけど、初エマージェンシークエストがゲームとどう違うのかという確認と、特殊能力目当ての参加だったし特に問題はない。お、スロット1アイテム拾えた。中身は通常攻撃の威力が15%上がるノーマルアタックアドバンス。ユリクリウスが二刀流を取る時に捨てた奴だな。これでもゲーム内では500万ゴールドぐらいの高値で売れる奴。求めていたぶっ壊れスキルではないけど嬉しい。
そしてロビーへと戻ると、阿鼻叫喚の地獄絵図だった。これは多くの人が死んでるな。その大半が自分の実力を見誤った人達で、ふおにの森が各難易度に1人ずつ120レべを派遣していなかったらもっと被害は凄惨だったはず。
惑星サマーリアの最高難易度でも、低レベル層が2人は生き残ったしな。そして案の定、1鯖のように強者を派遣出来なかった鯖は犠牲者の数が多い。1鯖はまだ数百人程度だけど、他の鯖は四桁の人がHP0になっている模様。
しかしながらHPが0になっても一応死んでないケースがあるようで、最終的に死んだ人というのはかなり少なかった。救出出来るケースであれば救出されるようで、例の怒鳴ってた65レベの人も一応生きてたらしい。全身が損傷しているようだし、復帰には時間かかるみたいだけど。
全鯖での最終的な死者、行方不明者は362人。初エマージェンシークエスト、お蔭で初級者や中級者の気は引き締まっただろうけど無駄に死なせてしまった感も強い。
[黒猫:お通夜だな。ちょっとシウラさんにかけあって、幼女同盟の人とふおにの森の人にクエストからのキック権限を要求してくるわ]
[ユリクリウス:横暴と言われようがそれしかないな。あと推奨レベル+15ぐらいのマージンは確保しておいた方が良い]
[クロワッサン:それ以上に、脅威度の説明とかクエスト説明文に書いとけ。最低受注レベル41で89レべが出て来たぞ]
[ゼル:一応惑星サマーリアの脅威度高の推奨レベルはオペレーターに確認したら81からだったよ……]
[クロワッサン:あれ?ゼルさんもサマーリア行ったの?]
[ゼル:行ったよー。でもたぶん別地域だったね]
どうやら同じ惑星の同じ難易度、同じ地域でも別の割り当てになるようなので、今回ライさんと一緒になれたのはわりと幸運だったか。そしてこの初エマージェンシークエストが終わった直後から、ふおにの森への加入申請数が増大。一気にチーム人数が1000人を超えてチーム数が13もある状態となった。
どうやら本格的に、初心者や初級者の育成に乗り出したらしい。流石に知識不足で死んでいく人が沢山出るのは見逃せないのだろう。一方の幼女同盟も1人チームメンバーを増やした。と言っても出戻り組だけど、ふおにの森に移籍していたふわわさんだ。アバターが男性で、中身は女性という珍しいプレイヤー。
元々ふおにの森と幼女同盟を行き来していた人で、初心者育成係を押し付けられそうになったから逃げて来たらしい。この人らしいと言えばこの人らしいな。ちなみに月10万は課金していた廃課金勢でもある。その大半が3人のロリサポートロイドの容姿に注ぎ込まれていたので幼女愛は本物だ。
「いやー、男になれてロリっ子に囲まれるとかこの世界は最高よね」
「その外見で女性言葉使うのは辞めたら?」
「クロワッサンこそその外見で男言葉使うの辞めたら?」
「は?」
「……いやどう見ても女アバターなんだけど?ちゃんとついてるのよね?」
「元々の自分のより大きいのは確認済みです。かなり大きいです」
「それは解釈違い」
「は?」
ゼルさんといい、ふわわさんといい、この世界に来れた女性は自分の欲求に素直過ぎる。あとふわわさんが入ったことで20人になったけど、黒猫はこれ以上チームメンバーを増やす気はないみたいだ。
[黒猫:初心者の育成やっても養殖にしかならんだろ]
[クロワッサン:「こんなの教えられてなかった!」とか言いながら散りそう]
[ABC:真面目に自身を向上させようというやつはエマージェンシークエスト前にふおにの森へ加入申請出してる。今から慌てて加入している奴に期待出来そうな人はいないと思う]
[ユリクリウス:いやでも推奨レベル81レべなのに41レべで来る人は少なくなるだろうし死者は減るんじゃない?]
まあ1人でも初心者の加入を許すと「どうしてあの人だけ」みたいな状態になるし面倒だから全部ふおにの森に押し付ける感じかな。シャルルさん過労死不可避。そして手塩に掛けて育ててもアブダクションや想定外のボス敵襲撃で無に帰すことを考えると今から育成に手は出し辛い。
[ジョーカー:あの……ちょっと良いですか?]
[黒猫:どした切り札]
[ジョーカー:いやあの妹もFUO2やってたみたいでチームに入りたいみたいなんですが入れて良いですかね……60レべだったんですけど]
[黒猫:切り札って高校生だったよな?
……ガチロリっ子来たぁあああああああ]
[白猫:マスター、チームチャットで品位を落とす言動はもう辞めると言ったじゃないですか。いい加減にして下さい]
[黒猫:サポートロイドがチームチャット使ってるううううううぅぅぅ!?]
なお既にチームメンバーの身内にはだだ甘な模様。ゲーム時代の幼女同盟の加入条件は①3つ以上のクラスでレベル上限②レア度90台の装備を強化限界の+99にしている③防具はスロット5まで拡張しているの3つを満たした上で、サポートロイドがロリっ子である必要がある。
……伊達に幼女同盟を名乗っているわけじゃない。サポートロイドは操作キャラ以上に性癖が詰め込まれやすいと個人的には思うけど、このチームメンバーはサポートロイドが全員ロリである。コッペパンもロリロリしているしな。そしてそんなロリっ子サポートロイドに窘められる黒猫。流石にサポートロイドがチームチャット使うのは予想外だったけど見れるなら書き込めるよな……。
そんなこんなで、ジョーカーさんの妹のマルマルさんが加入してチームメンバーは21人。ジョーカーさん自身はライさんと同じでゴースト/メイジの耐久寄り魔法アタッカー構成。最盛期の頃に始めた人だけど、今ではTA上位の常連である。かなりのシスコンだということは把握してるし、妹がこの世界来ちゃってるなら同じチームに誘いたくなるよね。
なおジョーカーさんの妹であるマルマルさんは幼女同盟というチーム名にドン引きしていた。真っ当な感性を持つ良い子じゃないか。クラス編成はナイト/ソードマンでかなり防御寄りの編成。ちゃんとスロットを5まで拡張しているのは好感が持てる。
……早くチームの雰囲気に馴染めると良いんだけど、幼女同盟というチーム名にドン引きしているなら難しそうかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます