第7話 会談
チームルームに行き、しばらく黒猫と情報交換……というよりかは実際の戦闘のあれこれについて自分とユリクリウスが話した後、黒猫が真面目な顔をして話し始める。
「これからふおにの森と会談みたいなのをするんだけど、お前らは強制参加な。
あとはゼルとABCで5人だな」
「えっやだ」「ここで寝てる」
「ABCは寝るな絶対連れて行くからな。元チームリーダー兼大使がサボれると思うな」
集合をかけた最大の理由は、今からふおにの森と話し合いがあるからか。まあ向こうはVR空間で色々と試したみたいだし、こっちはアブダクションに遭遇したり黒猫が他鯖から情報を仕入れたりと少しはこの世界がわかってきたから、情報交換会みたいなものかな。
というわけでふおにの森チームルームへ移動。金色のトロフィーがずらりと並んでいるが、3割程度は銀色である。流石にチーム全体での討伐数ランキングとかでは負けるけど、TAとかはうちも負けていないし勝っているところも多い。
なおこちらのチームルームも温泉宿の模様。まあ1番高額なチームルームで広い&温泉で色々と遊べるとなると上位チームのチームルームは温泉宿固定になるのだろうか。あとはプールや海岸、雪景色や神社が人気だったかな。
出迎えてきたのは、ふおにの森のチームリーダーのシャルルさん、サブリーダーの「お兄さん」さん、ふおにの森の圧倒的エースであるライトさん、ふおにの森2のチームリーダーのべロベロスさん、ふおにの森3のチームリーダーのらんらんさんの5人だ。
ふおにの森は、最終的に1鯖のアクティブがほぼ全員集まった。1鯖でまともに機能しているチームはうちとふおにの森ぐらいだ。そもそもソロが多いゲームだし、チームに所属しているアクティブは半分ぐらいか?まあ最終的にアクティブが2万人程度になって、1番人の多い1鯖のアクティブも1000人ぐらいだったとすると1/4が集まってるな。
「ようこそおいで下さいました。ABCさんはお久しぶりですね。ふおにの森のシャルルです」
「……相変わらずネカマなのかどうなのか分かり辛い奴だな。
幼女同盟現チームリーダーの黒猫だ。こっちは元チームリーダーのABC。半年ぶりに見た」
「レベル100なのに何故か参加することになったABCです……お久しぶりです……」
シャルルさんと黒猫が対面するけど、黙っていたらめっちゃ絵になる光景だな。シャルルさんは金髪で黒猫さんは白髪という違いはあるけど、根本的にロリ巨乳なのは似ているし。
そして情報共有が始まるが、流石は巨大チームなだけあって情報収集が早い。あくまでもまだ推測段階だが、地球が滅んでいる可能性とか考えたくもなかったよ。
[クロワッサン:ユリクリウスは今の話分かった?]
[ユリクリウス:お、個チャってそのまま使えるのか。まあ聞いた通りだろ。既に地球が滅んでいるほどの、未来に魂を移動させられたって考えだな。そもそもFUO2の設定年代が西暦5000年ぐらいだ]
[クロワッサン:ゲーム内アバターを操作しているようで実際にはこの身体を遠隔操作してたって話に繋げるには、それしかないか。シアリーの人員不足の話も胡散臭いんだよな……]
[ユリクリウス:設定上、シアリーになれるのは魔力を使える一部の人間が、厳しい訓練を修了してようやくレベル5の段階だからな]
こちらも情報を出すものの、黒猫の握っていた3鯖情報以外は既知だったあたりふおにの森のガチ勢感が凄い。
ある程度の情報交換が終わったところで、今後の話に移行する。まずは2組目に誰が行くかという話だ。現状、地球組のクエスト受注はVR空間以外全て停止されている。特に対策もせずに地球組がクエストを受注して、またアブダクションが起こったら、何しているんだという話になるからな。
しかし現状、元々タキオン船団に所属する地球組以外のシアリーは特にアブダクションが起きていないんだよな。そもそもゲームの中でも発生確率0.1%で忘れていた人もいるぐらいの存在。30組同時に発生したこと自体がおかしい。
「……まあ、前に進むなら2組目は練度の高いメンバーで行って試すしかない。
こちらから2人、そちらから2人の4人パーティーでどうだ?」
「その2人がユリクリウスさんとクロワさんであれば有り難く申し出を受けますが……お2人はアブダクションで死にかけたとのことですが、再びクエストに行く気はありますか?」
「俺は問題ない」
「自分も行きますよ」
死にかけたけど大丈夫か?みたいなことをシャルルさんが聞いてくるけど、自分は死にかけてないし、自分が死ぬなら恐らく遠からず地球組は全滅の憂き目に遭うから行く以外に選択肢はない。一方で、ユリクリウスが参加するのは意外だった。コイツの性格的にしばらく引き籠るかと思ったのに。
ただこのやり取りだけで、シャルルさんが慕われるのも分かる気がする。時々姫プしてるけど。個人的にも何度かTAで組んだことがあるのでPSが高いことも知っている。自分のことをクロワさん呼びする、珍しい人だ。
「ではこちらからはらんらんさんとライトさんを出します」
「火力2人、回復支援1人、カチ1人。まあ何があってもクロワッサンだけは帰って来るだろ」
しかしまあ、下手すりゃ死ぬという意識がまるでないな。自分も死ぬ気ないけど。どうしてもゲームの延長線上の出来事のように思えてしまうし、初心者達や中級者達は今どうしているのか結構気になる。
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