第16話 ドロップアイテム〝ある兵士の手記〟

 獣人は虐げられてきた。

 そんな風に感じたことは一度もない。

 生まれた種族で相手を差別するのは獣人も変わらない。

 結局、差別してくる相手が増えただけ。

 それだけだ。


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 一族の恥さらしと呼ばれ続けてきた。

 鳥の獣人で飛べない以上、仕方のないことだ。

 それでも帝国軍人になりたい。

 誰かのために戦うことが自分の喜びだからだ。

 

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 何とか獣人軍に所属することができた。

 人間の兵士との合同訓練では嫌がらせもあるが、庇ってくれる人間の兵士がいた。

 ヒトに優しくされたのは初めてだ。

 この人になら背中を預けられる。心からそう思った。

 

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 先輩は人間とは思えない身体能力をしていた。

 いや、身体能力でいえば純粋な獣人の方が上だ。

 あの人は戦闘技術がすごいのだ。

 剣を持てば導かれるように最適な動きを理解し、敵を切り伏せる。

 獣人はよく戦うために生まれたなどと言われるが、それは間違いだ。

 あの人こそ、真に戦うために生まれた存在だ。

 

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 先輩が皇女付きの騎士にまで出世した。

 獣人兵の自分はこれ以上出世できないことはわかっていたから、先輩が出世したことは純粋に嬉しい。

 もしも会ったときのために皇女殿下の特徴は覚えておかなくては。

 赤いドレスと琥珀色の髪が特徴的。これだけ覚えていれば間違えることはないだろう。


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 久しぶりに先輩と出会った。当然、皇女殿下も一緒だ。

 聞いていた特徴と髪の色が違ったから最初はわからなかったから焦った。

 皇女殿下も気さくで優しい人で、獣人の自分にも優しく接してくれた。

 もっと皇女殿下と話がしてみたい。もしかしたら仲良くなれるかもしれない。


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 なんか部隊を移動になった。

 どうやら新しい遺跡が見つかったから調査団の護衛をしろとのことだ。

 正直気乗りはしない。自分は前線で戦ってる方が性に合っている。


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 なんとビックリ大発見。

 遺跡から不自然な風の流れを感じた。

 気になって適当に遺跡の構造物をいじったら地下への隠し通路を発見した。

 獣の唸り声とやらもきっと風のせいだろう。

 せっかくだし、報告前にちょっと中を見ていこう。


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 遺跡の最奥部で巨大な鼠のバケモノに襲われた。

 初めて戦うバケモノに焦りはしたが、なんとか倒すことができた。

 巨大な鼠は金色に輝く謎の玉を落とした。

 忘れずに持ち帰って調査団に報告だ。


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 ※ルミナの聖剣 真実の遺跡――エリーン遺跡ボス・コカトリスのドロップアイテム〝ある兵士の手記〟より抜粋

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