第16話 死神


 俺たちの拠点は二重になっているのでパッと見ると入り口がない。

「ここが俺の家だ」

「何処が門だ?」

「それは自分で探せ」

「まぁいい、ここだな、分かった」

 と言って帰っていくゲーハーを見送ると、

 石壁の一部を開き中に入る。そしてもう一度扉を開いて中に入ると日当たりのいい家がある。

 流石にやりすぎかと思ったがこれくらいしないとめんどくさいのに捕まるからな。


「リーシャは慣れたか?」

「はい!これはこれで静かですしいいですね!」

「だろ?やっぱ隠れ家はこうでなきゃな」

 入り方がわからなくて泣くゲーハーを思うと笑えるが、ここは俺の隠れ家だからな。


 ここではショップの力を全開に使っている。家電なんかも使いたい放題だ。

 でっかい発電機も買ったし、テレビはDVDしか見れないが、ソファーに座ってみる大迫力の映画はとても素晴らしい!

 スピーカーもいいのを買ったからな!

 こんなところ見られたらなんで言われるか分かった門じゃないからな。


 それから別に外に出なくてもショップがあるので食料や日用品は揃うので一年ほどニートを満喫した。


「さて、そろそろ一回出てみるか?」

「そうですね、人に合わないってのも不思議な感覚ですね」

「そうだな、あまりにもあってなくて浦島太郎状態になってたりして」

 とドアを開けるとなぜか目の前にギルドが立っていた。

 ドアを素早く閉めそそくさと逃げようとすると、

「まてぇ!お前この一年何処にいやがった!」

「ひぃぃぃ!」

 ギルド長はつるっぱげになっていた!

「ど、何処ってこの家から一歩も出なかっただけだけど」

「くっそ!壊そうかと思っていたら出て来やがって!」

「お前人のもの壊すなよ!」

「もう、シャンプーなんかがないんだよ!」

「分かったから落ち着けよ」

「落ち着けるか!こっちはマイホームまで売ってこっちに来たのにお前と1年と2ヶ月2日あえなかったんだぞ?」

「こ、こわい!そこまで数えるなよ」

「分かったら出すもん出してもらおうか!おう!」

「なんでお前が上目線なんだ?」

「あ、」

「だしてやってもいいけどなぁーーーーー」

「悪かったです。調子に乗りました」

「うそだよ、流石に俺も悪いと思ったから出せる分出すから言ってくれ」

「はい!注文分が二万七千セット程になりまして三万セットも出してもらえればこちらとしてもありがたいのですが」

「え?」

「だからサンマンセット」

「はぁ、何処に置くの?」

「こっちに来てください!」

 と連れて行かれたのは王城の倉庫。

「ここです!」

「はぁ、じゃあ、置いていくね」

 シャンプー、コンディショナー、ボディソープと三万セットも注文することになるとはね。すげえ金額行ったな!


 これで王様達も喜ぶだろうな。

「あと、トランプは?」

「え?」

「作れなかったんですよ!だからトランプも」

「分かったよ!ほら」

 しょうがないので三万セットを置くと、満面の笑みだなおい!


「助かりました!」

「はい!お金は?」

「あ、私今一文無しなんですよ」

「なんで?」

「あなたを待ち続けるのは至難の業でしたよ?」

 そう言えば何処となく痩せているし服も変えてないのか匂いが…死臭がする。

「分かったよ!売れたら返せよ?」

「はい!すぐに売って来ますから!」

 とルンルンで去って行くつるっぱげに、

「本当に死神かと思った」

「私もです」

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