第14話 親父にも打たれたこと


 王都に到着した。

「よし!やっと王都だ!」

“ガッ”

「な、何?」

「一緒に王城に行きましょう」

「やだ!はなせ!」

「では、あなたが使っているシャンプーとコンディショナーなんかはどうするんですか?」

「そりゃ売らないよ!」

「な、なんて傲慢!私達に売りなさい!そして王城に献上するんですよ!」

「ふざけんな!俺はそんなめんどくさいことしたくない!!」

“バシンッ”

「クオン様に何をするんですか!」

「よしいいぞ!こいつを引っ叩け!」

「お、親父にも打たれたことないのブッ!!」

「よし!それでは王都観光でもするか!」

「はい!」

 俺たちは甘かった!この時あいつの息の根を止めとけばこんなことにはゆらなかったのに!


「リーシャは欲しいものあるか?買ってやるぞ?」

「いいえ!ありません」

「そうか?服なんてどうだ?」

「そうですね?でもケント様がスキルで出してくれる服の方が着心地がいいのですもの」

「まぁ、そうだろうな」

 流石ショップだ!リーシャもよく分かってるな。


「今日の宿はここでいいか?」

「凄い立派なところですね」

「まぁな!風呂がついてる方がいいだろ!」

「それはそうですね」


 と宿に入り部屋に風呂がついていた。

 風呂に入ると一緒に入ってくるリーシャにドキドキしながらも今日も抜かれるのかと内心ウハウハだったが。

“ゴンゴン”

「はぁ、だれだよ!」

 開けると騎士が並んでいる。

「は?」

「こちらクオン殿のお泊まりの部屋かと思いますが」

「違います」

「いや、それは通用ませんので!」

「ちょまてって!いまからなにをなにするんだよ!お前らふさわけるな!」

「申し訳ない!連れて来いとのご命令なので服を着て下さいますか?!」

「お前らが勝手に来たんだろ!」

「さぁ!着替えて下さい!」

「くっ!ちょっと待ってろ!」

「分かりましたが鍵をかけての立てこもりはドアを蹴破りますからね」

「わ、わかったよ」


「はぁ。リーシャ、準備を」

「はい」

 着替えて2人で出ると王城へは馬車が用意されていた。

「なんでまた…あいつしかいないよな」

「そうですね」

「あーまじやってられねぇ!」

「まぁ、そう言わずに」

 リーシャに宥められながら王城へ向かう。


「こちらで王がお待ちです」

「はい」

 扉が開くと同時に走り出し中心にいる人物に飛び蹴りをかます!

「オラァ!」

「ぶひゃ!」

「おいお前!どういう了見で俺らを呼んだんだ!このやろう!その髪ムシってやる!」

「や、やめてぇ!もう虫の息なの!髪だけは!髪だけはぁ!」

「や、やめい!」

 と両脇を抱えられて離される。

「ふぅー、ふぅー、」

「落ち着くのじゃ!我はこの国の王なるぞ!」

「は?俺は呼ばれたから来たけどあんまり気が長い方じゃないんでね!あまり無理言うと暴れるぞ!」

「な、なんたる不敬な!こやつを捕まえろ!」

「ブリーズ全開」

「うおっ!」

「まだやるか!」

「わ、わるかった!ここで暴れるな!」

「わかればいい!で!何のようだ!」

「そう喧嘩腰になるな、此奴がいいものを売る商人がおると言うから連れてきてもらったのじゃ」

「くっそ!やっぱお前のせいだろうが!」

「髪はやめてぇ!」

「やめぬか!してその方の扱う品が見たいのじゃが?」

「…はぁ、じゃあ、シャンプーとリンスとコンディショナーだけですよ」

「おお、これはどう使うのじゃ!」

「それはこちらを見ればよくわかると思いますが髪がサラサラになりますね」

 とリーシャの髪を指す。

 リーシャはノリノリで髪を滑らせて見せる。

「お、おお!凄いではないか!して使い方は?」

「それはこのハゲがよく知ってます」

「ハゲじゃない!」

「ではそこのギルド長に聞くとしよう」

「は、はい」

「ではこのものに金貨百枚を渡せ。すまぬな呼び立ててしまって」

「いやいいんです。こいつのせいですから」

「しかし一本じゃすぐなくなってしまうのぉ」

「じゃあ10本づつ置いていきますので」

「おぉ、ありがとう」

「いえ、落ち着いたら王様になんてことを」

「いやいいのじゃ」

「これはそのお詫びです」

 とトランプも十セット置いておいた。

「ふむ、すまぬな」

「いえいえ、それでは」

「また呼ぶかも知れぬからその時はよろしくな」

「はい、ではまた」

 俺とリーシャはまた馬車に乗って宿に戻る。

 そのあとリーシャにこっぴどく怒られてしまった。王の前であれは不敬だと。

 まぁやってしまったことは仕方ないじゃないか。

 と今日も精が尽き果てると眠りにつくのであった。

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