第13話 燃え尽きちまったぜ、


 ヨジボーに座っていると眠くなるな。

「クオン様!落ちてしまいますよ?」

「は、ひい!」

 あ、危なかった。

 後ろの馬車に轢かれるのだけは勘弁だな!


 それにしても道中暇だな。

「トランプでもやるか?」

「トランプですか?」

 と馬車ないのみんなに教える。

 まぁ、単純なババ抜きだ。


「さぁ、どっちですか?」

「なんで俺ら2人が残るんだよ!」

 くっそ!こっちだ!

「ぬうううう」

「はい!上がりです!」


「もう一度やろうぜ」

「面白いわね」

「よし!勝つまでやるぞ!」

 と馬車の中は大盛り上がりだ!


「いいなぁ、私らも護衛がなければ」

「まぁ、休憩中にやろうぜ」


 と言い道中楽しく進む。


「私も仲間に入れてくださいよ」

「お前はあっちの馬車だろ?取られたらまずいんじゃないか?」

「くうぅぅぅ!!」

 ギルド長は悔し涙を流しながら馬車に戻って行く。

 

 そうして次の街に着きここで一晩明かすことになる。

「よっしゃ上がりだ!!」

 下で夕食を食べる際までみんなでババ抜きだ。

 ようやく仲間に入れたギルド長もこれは面白いと商品化を考えているようだ。まぁ、この世界の紙ではちょっと辛いかもな。


 リーシャはババ抜きが強くて俺は一回も敵わなかった。


 ここには大浴場があり、みんな入って行く。

「なーにこそこそしてんだよ!」

「な、これは紳士の嗜みです!あなたこそ前を隠しなさい!」

「べっつに、みんなついてるもんだろ?隠す方がどうかしてるぜ!」

「くそっ!ちょっとデカいからって!」

 どうやらコンプレックスのようだからそっとしといてやろう。

「あぁー、いい風呂だな!」

「だよな!飲んだ後入ると後は寝るだけだ」

「まぁな!しかし、いい宿だな!」

「な!こんだけの風呂があるんだ!金かけてる宿だ」

「ここは温泉らしいですよ?」

「「まじか!」」

「ええ。うちみや打撲なんかにも効果があるみたいですしね」

「へえ、ギルド長はよく知ってるな」

「まぁ、何度も行き来してますからね」

「はぁ、生き返るわけだなー」

「本当だ。風呂はいいなぁ」


 ボディーソープとシャンプーとコンディショナーを出してみんなで使うと男なのにサラッサラの髪になっていい匂いをさせて部屋に戻る。ギルド長が欲しがってたがやらない。

「な、何でそんなにツヤツヤなんですか?」

「お、リーシャにも分かるか?これはこれとこれとこれだな」

「なぁ!もう一度入ってきます!」

“ガンガン”

「な、なんだよ!」

 開けると女戦士が立っていた!

「髪がサラサラになるやつといい匂いのするやつをくれ!」

「あ、あぁ、リーシャと風呂に行ってこいよ」

「行きましょう!」

「おう!」

 後ろで男の剣士が両手を合わせて悪りぃと言っていた。まぁ、しょうがないだろうな。


 結局は女戦士の分とリーシャの分を出してやり上げた。

 ブリーズで髪を乾かしてやると。

「わぁ、サラサラですね!」

「うん、いい匂いだ」

「ウフフ、ありがとうございます」

「どういたしまして」


 とその日の夜は俺の貞操を奪われてしまった。からっからになったぜ。


「おいおい大丈夫かよ?」

「お、おう、燃え尽きちまったぜ、真っ白にな」

「ウフフ」

「お、おお」


 何もやる気が起きずにヨジボーに腰を下ろしているだけだ。

 馬車の中ではババ抜きで賭けをやっている。

 まぁ小さな金額だから多めに見よう。


 みんな真剣にやっているので笑えてくる。

「あははは!みんな本気になりすぎるなよ?」

「こっちはもう負けてんだよ!」

「あんたんとこの奴隷強すぎるだろ!」

「リーシャ、そろそろやめといてやれ」

「えぇ!こんなに儲かるのにですか?」

「そうだ。馬車の中を殺伐とさせたいのか?」

「わかりましたよー」

 とリーシャに辞めさせる。

 後は各々楽しんでくれ。

 

 と、ようやく王都が見えたようだな。

「今日はここで野営だから、みんな降りてくれ」

「もう目と鼻の先じゃねぇかよ」

「今からじゃ無理だな、だからここで一晩明かしてからだ」

「んじゃ明日には着くんだな」

「そう言うことだ」

 見えてるのになぁ。


「これで兄貴の飯も食い納めか」

「あれをまた売ってくれよ!」

「あぁ、シャンプーとコンディショナーな、ボディーソープもつけて銀貨50でいいか?」

「おう!二セットくれ」

「おいおい。金貨1枚だぞ?」

「いいんだよ!ここでしか買えないんだから!」

「まぁいいならいいけどな」

「毎度!」


 こう言う時に真っ先にくるギルド長が見えないと思ったらトランプに熱中していた。

「クソ!また負けた!」

 俺と一緒でババ抜きが下手なようだな。


 次の日はようやく王都に着く予定だ!

 さぁ、王都はどんなところだろうか!

 楽しみだ!

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