第12話 テメェの血は何色だ!


「リーシャ、これはなんだ?」

「これはナウシの実です」

「そうか!美味いのか?」

「美味しいですよ」

「じゃあ10個くれ」

「あいよ!銀貨2枚だ」

 という感じで、リーシャに聞けば大体答えが返って来る。

 とても1人じゃわからなかったな。

 いいね!仲間がいるって楽しいや!

「な!クオンが女連れてる?!」

「あぁ、ギルド長は何やってんだ?」

「みてわかるだろ買い出しだよ!」

「そうか!頑張ってな!リーシャ!行こう」

「はい!」

「クッ!クソっ!私というものがありながら」

「そこ!変なこと言わないように!」


「あ、あのクオン様は男色なのですか?」

「ちげーし!女の子が好きです!なんならリーシャみたいな子がいいです」

「は、はい!」

「わかった?あいつ嫌がらせであんなこと言って来るからな!」

「わ、分かりました!」

 くそ!ギルド長のせいで変な性癖だと思われるとこだったぜ。

 あいつにデスソース入りの水鉄砲でも撃ってやろうか?


 そして夕暮れ時になり、宿を決めると一緒がいいというので2人部屋にした。

「夕食は一緒に食べる!これ決まりね」

「は、はい!」

 うまそうに食べるリーシャはたまにこちらの顔を見て顔を赤くしている。


 部屋に帰ると早速クリーンの魔法を使いそして寝てしまう。

 そう買ったと言ってもSOSを聞いて助けただけなのだからあっちがその気でも致しません!

 朝起きるとちょっとだけ怒ったリーシャがいた。

「あはは。おはようリーシャ」

「…おはようございます」

「んじゃまた今日から王都行きの馬車に乗るから急いでね!」

「き、聞いてませんよ!早く言ってください!」

「はーい!」


 急いで門のとこに行き1人追加料金を払って2人で乗る。

「兄貴のこれですか」

「そんなこと聞くなよー」

 と護衛と喋りながら水鉄砲の照準は…あれ?1人増えていた!

「あいつ御者を雇いやがったな!」

「あぁ、後ろの荷車に乗ってると思いますよ?」

「くっ!俺の楽しみが!」

 しょうがないので馬車に揺られながらリーシャの顔を見ている。

「え?」

「え?」

「もう!」

「あはは、見てただけだよ?リーシャもヨジボー使う?」

「いいです」

「さいですか」

 うーむひまだ。


「…っは!寝てた!」

「はい、よく寝てましたよ?」

「あはは、こう何もないと人って寝るんだな」

「景色を楽しんだりできるじゃないですか?」

「んー、起きる前とあんまり変わってない気がするけどね」

「まぁ田園地帯ですからね。王都まで続くと思いますよ?」

「リーシャは行ったことあるの?」

「はい、何度か」

「そっか!どういうところ?」

 と話に花を咲かせていると、

「兄貴ー!」

 と呼ぶ声がして馬車が止まる。


 な、なんだこれ?

 隕石でも降ってきたみたいに穴が空いている。って多分隕石なんだろうな。

「俺は穴を開けるのは得意だが埋めることはできないぞ?」

「そ、そんなぁ」

 対岸の方でも困って立ち往生している。

「えぇ!土魔法ですか?」

「ギルド長なんだからそれくらいできるだろ?」

「私は風魔法しか出来ない!」

「チッ!つかえねーな!」

「な!し、失礼ですよ!」

 使えないギルド長はほっといて荷車に戻ると、

「誰か土魔法使える人います?」

 ガヤガヤと言っているが1人手を挙げたのはリーシャ!

「え?リーシャ使えるの?」

「はい!得意ですよ」

「よし、リーシャ!前に行って手伝って欲しい」

「分かりました!」 


 リーシャの手伝いもあり何とか道の復旧をし、多額の謝礼を受け取るとリーシャに渡す。

「いえ、私は受け取れません」

「?なんで?」

「奴隷は金品を受け取れないんです。主人が手にするのが当たり前です」

「うーん、とりあえず預かっとく」

「…はい」

 それから次の街までは遠く離れていたのでまた、野営をする事になった。

 ショップで買い物して売りまくったおかげで小銭稼ぎは大成功!

「す、凄いですね!」

「だろ?だからあれは」

「あれはクオン様のです」

「ふぅー、平行線か」

「何と言おうともらえません」

 リーシャ頑固!がんこな子!

 さぁ、寝ずの番を頑張ってる護衛たちには悪いが寝ます。


 次の朝起きると護衛は傷だらけだった。

「ど、どうしたの?」

「へへ、ファングウルフと戦ってちゃんと追い返しましたよ!」

「バカだな、あんなやつ起こしてくれればよかったのに」

「いえ。こんなのポーションを飲めば一発ですから!」

「聞いたか?」

「聞いたがどうした?」

「お前には血は流れてないのか?」

「え?金でできていますが?」

「そうか!お前の血は何色か確かめてやるよ!」

「うそ!うそぴょーん、分かったから!ポーションね、一本銀貨5枚だ」

「んじゃ4本くれ!」

「!毎度!」

「ほら飲め」

 護衛に渡して行く。

「あ、兄貴!ありがとうございます」

「心配すんな!」

 旅はまだ続くんだから。


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