第11話 道中


 ガタンゴトンと馬車は揺れるが、

「何後ろからついて来てんだよ!」

「行く方向は同じですぅ」

「けっ!」

「フンッ!」

 陰険な野郎だ!

「あれ、商業ギルドのギルド長だろ?あんた何かしたのかい?」

「いーやしてないね!」

「あっちはそう思ってないみたいだけど?」

 護衛のお姉さんが喋りかけてくれてるのにこんな会話だなんて…悲しい。

 それもどれもこれもかれも全部ギルド長が悪いんだ!


「ウォーター弱」

「く、くそやめろ!」

「辞めといてやれよ、あっちの護衛もうちらの管轄なんだから」

「え?マジで?」

「だから連なって王都までいくんだよ」

「あ、そうか」

 そうならそうと言えばいいのに!


 ゆっくりの馬車の中俺は戦っていた。


『け、けつが痛え!しかも割れそうに痛いって』

 おしりが四つに割れそうだ!


 途中休憩に入った。

「いてててててててて」

「どうしたんですか?」

「けつが痛いんだよ!」

「アーハッハッハッ、ちゃんと私みたいにクッションをつければ大丈夫ですのに!」

「それだ!よし!ヨジボーのクッションにしよっと」

 俺はショップでヨジボーのクッションを買う。

「な、何ですかそれは」

「ヨジボーだ!俺のお尻をふんわりと包んでくれる!」

「な!ずるいです」

「へっ!俺はけつの痛さを我慢できそうもないんでな」


 ガタンゴトンと馬車腹揺れるがヨジボーのお陰で快適な旅になった。


 昼食は自分達で用意しないと行けないらしい。もちろん俺はダブチ!

「うまっ!」

「な、何食べてんですか?やけに美味そうですが」

 干し肉を齧っているギルド長に見せつけながら食べる。

「美味っ」

「それ売ってくださいよ!」

「じゃあ銀貨1枚」

「たっか」

「俺らにも売ってくれないか?」

「イイよ。銅貨20枚な」

「よっしゃ買った」

「く、くそー」

 銅貨20枚で売ってやった奴らはその美味さを絶賛していた。

「ふ、ふん!」

 そしてまた馬車の旅を、今回ヨジボーはとてもいい働きをしてくれている!さすがヨジボーだ!

「と、盗賊だぁ!」

「護衛が何とかしてくれるだろ」


「おい!護衛が負けたぞ!」

「なに!じゃあ、おれがでないといけないじゃんかよ!」

 俺は飛び降りて前に行くと本当に負けてやがる。

「あ?お前は何ギャー」

 トーチで汚物は消毒だ!

「あ?俺は客だ!」

「ま、魔法使いがいやがるぞ!」

「ひ、1人だけだろ!」

「みんなでかかるぞ!」

「聞こえてんだよ!ブリーズ全開」

「「「ギャアァァァァァァ」」」

 竜巻に巻き込まれて落ちてくる。

「ふん!造作もない!」

「あ、ありがとう」

「お前らもしっかり護衛しろよ!!」

「「「はい」」」

 と振り返ると大男がいたので飛び退る。

「な、何だお前?」

「こいつらの親分だが!よくも痛めつけてくれたな!」

「ブリーズ全開にトーチ全開」

 炎の嵐の中そいつは微動だにしない!

「何だこんなもんか?」


「くそ!ウォーター全開だ」

「ぐ!、ごぼ!コボボボ!?」

「へっ!生きとし生けるもの酸素がないと死ぬんだよ!」

「、こぼ、、コポン」

「よし解除だ」

「縛れ!」

 護衛が縄で縛って行く。

 亀甲縛りなんてまたマニアックな縛り方だな!おい!


「こいつらのアジトがあるかもしれないからそこまでお願いします」

「おいおい、俺におんぶに抱っこじゃねーか!」


 アジトは近くに掘建小屋があり、その中にも盗賊が隠れていたが護衛がなんとか頑張って倒した。捕まっていた人たちを救出して、何とか無事に馬車に合流して、ようやくまた王都までまた出発だな。


 まぁ、途中の街で盗賊を引き渡すと賞金首の大男は俺が倒したので賞金首の分はもらう。

 討伐は一応護衛もやったのでそっちは譲ることにした。

もう日も暮れそうだったので今日はこの街でゆっくり休む。


 次の日から俺は兄貴呼ばわりしてくる護衛達に喝を入れ!しっかり護衛するようにいってある。


 ヨジボーに座りながらまったりと旅は続く。王都までは約5日ほどの道のりらしい。


 まぁ、それまでまた退屈凌ぎにギルド長に水鉄砲を買い、それでやたら顔を狙って撃つべし撃つべし。

 

 三台の馬車は大きな街にやってきた。


「大きな街に着いたなぁ」

「これで驚いていたら王都なんてもっと驚きますよ」

「へぇ、よし!買い物だ!」

 思う存分買い物を楽しむとここで奴隷を初めて見ることになる。

 なぜか気になる荷台に鉄格子が取り付けている中で1人だけ隅で体育座りをしている女の子がいた。

「おい、そこのやつはいくらだ?」

「へい、金貨10枚でございます」

 俺は金を払って奴隷を買うことにした。

 貫頭衣に身を包んだ女の子はサリィと言うらしく、それ以外のことは話さないとのことだ。


 とりあえずはクリーンで綺麗にして服屋だな。服屋を周りにあいそうな服に着替えさせる。

 よし!あ、あとブーツだな。

 ブーツも買ってこれで完成だ。

「ご主人様?なぜこのようなことを?」

「ん?俺は奴隷に興味はない、が助けてと言っただろ?だから助けてみた」

「え…そんなことで?」

「しょうがないだろ?気になったんだから!あとご主人様呼びは禁止だ!俺の名前はクオンだ!よろしくな!」

「は、はい!クオン様」

「まぁいいか、それでお前の名前は?」

「リーシャです」

 そうか、サリィではないのだな。

 リーシャは淡いピンクの髪色に瞳もピンクだ。目鼻立ちはしっかりしていてこっちの子なんだとすぐにわかる。


「んじゃリーシャ行こう」

「はい!」

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