第10話 旅をしよう!


 前回金をもらい損ねたので商業ギルドに行く。

「うおぉい!ギルド長はブフッ!」

「来てくれた!マイエンジェル!」

「だ、誰がマイエンジェルだ!そこ!変な目で見ない!こいつがどーかは知らんが俺はノーマルだー」

 ギルド長をひっぺがしながら言うが、

「やめろ!股間に顔を埋めるな」

「助けて下さい!」

「分かったからやめ!お前ら!特にそこ!辞めろ!お前もそろそろ辞めろ!変な噂が立つだろ!」

「私は助けてほしいんです」

「俺が助けて欲しいわ!」

「だから私を助けて!」

「わーかったから!な!もういいだろ?」

「やった!良かった!」

「ふぅ、そこ!辞めとけよ?噂になれば斬るからな」

“こくこくこくこく”

 お局三姉妹の様なババアどもが首を縦に振る。ゼッテー喋るだろ?今のうちに斬っとくか?

そして商談室に入り、

「ごゆっくりどうぞ」

 とお茶を持ってくるお局。

「待て!お前なんか意味深だな!辞めとけよ?ジョーダンじゃないからな!」

「…ごゆっくりどうぞ」

「おい!おい!待てって…お前のせいだぞ?」

「ん?」

「ん?じゃねーよ!呑気に茶菓子食ってんじゃねーよ!」

「あ!それでですね」

「本題に入るんかい!」

「はい!それでですね、国王から醤油の依頼があったらしく献上しろとのことで」

「へぇ、国王にまで話が入ったんだなぁ」

「それが、一番出来のいい品をともうされまして」

「んじゃ高級な醤油でいいんじゃないか?」

「あるんですか?」

「あるんです!」

「どこに?」

「ここに!3年半醸成したこの丸長が目に入らぬか!」

「す、すげぇー、入れ物からして品がある!」

「こちらなんと今だけ!今だけのチャンスです!金貨3枚だ!」

「買った!」

「ってそれだけのことかよ?」

「王に献上するんですよ?そりゃ普通のじゃダメですよ」

 ああね、王様だしね。


「それより、前回金をもらい損ねたからな!」

「それとこれとは」

「それは前回でおわったの!」

「はいはい払いますよ」

「なんか太々しいな!この野郎」

「あ、暴力ですか?暴力反対」

「てかキャラ崩壊してっから!そろそろ普通に戻れ」

「すいません、私としたことがつい」

 つい、でキャラ崩壊されたらたまったもんじゃないな。

「では、前回の報酬で金貨100枚でどうでしょう?」

「あそこは1000枚で売るんだろ?それにしては安くないか?」

「いえ、あそこはそこまで高く売れないでしょう、なんたって曰く付きの物件だったのですから、金貨100枚でお願いします」

「はぁ、しょうがない金貨150枚だ」

「わかりました、仕方ないですね」

 金貨150枚を渋々出すギルド長に、

「あまり金を出し渋ると今後に関わってくるかもな」

「い、いえ!そんなことは決して!申し訳ありませんでした」

「じゃーな」

 まぁ金が全てじゃないけどな。


 部屋に戻ると、この町ではないどこかへと行ってみたくなって来た。多分馬車は出てるだろうしなんとかなる気はする。


 そうだな、王都というのもいいかもな?


 ここは居心地はいいがちょっと馴れ合い過ぎたのかもな。


 ではどこに行くかだがやはり王都一択しかない気がする。ここより栄えてないとやはり苦労しそうだしな。


 よし!思い立ったが吉日とも言うし今から動いてみるか?


 冒険者ギルドに来ている。

「あの、王都まで馬車は出ていますか?」

「出てますが王都に行かれるんですか?」

「まぁ、行ってみたいなぁと思いまして」

「では護衛などいかがでしょうか?」

「いや、客として行きたいんだ」

 護衛なんてまっぴらごめんだ。

 なんで寝ずの番とかやらにゃならんのだ!

 こっちは金持ってるんだぞ!

「でしたら明日出発の王都行きが有りますが?」

「それで!」

「料金が金貨1枚になります」

「はい」

 金貨を渡す。

「はいでは確かに!それではこれがチケットになるので明日朝の鐘が鳴る前に門のところに来て下さい」

「わかった!ありがとう」

「いえ」


 よし!これで王都までの片道切符は手に入れたぞ!

 よし!あっちで新生活を始めるとしよう。

 こっちはまぁ、オカンやらギルド長が居たけどなんとかなってるし、

 それじゃアディオス!名前も知らない街よ!


 次の日はよく晴れていて、いい旅夢気分だ!

「あっ!」

「あぁ!なにやってるんですか?」

「いや、ここから王都に行こうと思ってな」

「ダメですよ!私がいるのに!」

「いや!変な意味に捉えられるからそう言うの辞めて!」

「はい!ではこちらでお待ちになってて下さい」

「いや、もうチケット取ったし」

「えぇ!本当に王都に行く気ですか?あんたあたしを捨てる気ですか?」


「情緒不安定なやつだな!俺だって冒険者だぞ!旅くらいするに決まってるだろ!」

「うぐ!」

「ギルド長こそ、ってあぁ。献上するんだったな」

「そうです!それがあるから今から出発するんですよ!」

 ジト目で見てくるギルド長。

「じゃあ俺はあっちの馬車だから」

 と離れる。

 はぁ、やっと離れられると思ったのに…

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