第8話 ダブチ


 ここはどこだ?

「えっ!っと、ここは?」

「おお!今日の主役がやっとお目覚めだな」

 とここはギルドか、どうやって帰って来たんだ?

「おめぇが最後まで頑張ってくれたおかげでゴブリンの巣討伐成功だ!!」

「おぉ、それはよかった」

「んだよ!もっと喜べ!あのゴブリンキングを倒したのはお前だし、ホブゴブリンだって倒しただろ?マジで感謝してんだ!」

「「「ウオオォォ」」」

 大歓声が聞こえる、本当に俺やったんだな!

「あはは、実感わかねぇや」

「そんなとこだろうが、俺たちは生きて帰って来れた!この喜びを!俺たちの英雄に!」

「「「俺たちの英雄に!!」」」

 うわぁ、多分俺が寝てる間に話がひろまったんだろうな。

 つーか、恥ずかしいのでやめてほしい!

「「「ウオオォォ!」」」

「イエーーーー!!」

 くそ!踊らにゃ損するから踊ってやるよ!

「テメェら!今日は俺の奢りダァ!」

「「「ウオオォォ」」」

「おま!いいのかよそんなこと言って!」

「いいや!今日は俺の奢りだ飲んで食べてくれ!」

「悪りぃな!んじゃお言葉に甘えて!エールおかわりだ!」

「「「おかわり!」」」

「あいよ!」

「イェーイ!っと!さすがにキツイな」

「だろうな!魔力切れは取り敢えず死ぬこともあるから気をつけろよ?」

「ま、まじか!今後やらない様にする!」

「それでレベルどれくらい上がったんだ!2体も大物倒したからそれなりに上がってるだろ?」

「お、おお」

 ステータス!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 水原 久遠ミズハラクオン 22歳

 レベル33 職業 無職

 スキル 収納 鑑定 生活魔法改 魔力循環

 ユニーク ショップ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おー?二重も上がってやがるぜ!いやっほー!」

 死にかけたんだ!これくらい上がってもらわなきゃな!


「おし!いいもの食わせてやるぜ!いでよショップ!ハンバーガー!かもぉん!」

「ほう!なんだそりゃ?食いもんか!」

「まぁ食ってみなって!こうやって食うんだ」

 俺はダブチをお馴染みのあの食べ方で食べる!異世界に流行らしてやるぜ!

「うぉ!うめぇー!!」

「だろ!美味いっしょ?」

 くぅ!誰もが真似する!

 やっぱダブチパネェな!


 縁もたけなわ、もうみんな食えねー飲めねー状態での解散である!

「じゃー今日はゴッソー様」

「おうみんなそれじゃあな!」

「ではお会計を」

「おう!」

「金貨3枚になります!」

「はい!」

「まいど!」

 俺は宿に帰ろうとすると、ギルド長から声がかかる!

「おい!明日は出てこいよ?討伐金もあるし、ランクも上げてやるからな!」

「はーい!」


 流石にオカンはもう寝たらしく宿屋に入って自分の部屋に帰る。

「うー、酔ったし腹一杯だぁ」

 こんなに飲んだのはいつ依頼だ?てか、なんとかなってよかったな!

 怪我してるやつもいっぱいいたけどそれなりに楽しく飲めたしな!


 次の日は痛む頭と気持ちの悪さをどうにか我慢しながら下に降りると、

「あんたまた呑んできたのかい!」

「うー、ガンガン響くからやめてくれ」

「そんなんじゃ嫁がいつになったらくるのかわかったもんじゃないね!」

「ウッセー!それより朝飯」

「わかったわよ」


 置かれたのはスープであった。


「これでも飲んで元気だしな」

「あんがとー」

 ホッとする味がした。

 いや!なんで朝から俺だけ違うメニューなんだよ!オカンのエコ贔屓にあきれるぜ!


「んじゃいってくる」

「はいよー」


 ギルドに向かうと死屍累々、みんなが二日酔いだ!

「うっはよー!!」

「「「うるせーよ!」」」

「あははは!」

「おいそこの一番元気なやつ!こっちに来い!」

「はいっす!」

 俺は生ける屍どもをかき分けてギルド長の下までいく。

「んじゃ、討伐金金貨10枚だ!これは今回ゴブリンキングとホブゴブリンを倒したのも入ってこの金額だ」

「うっす」

「んでランクをCまで引き上げた、俺の裁量じゃここまでしか上げれなくて悪いな」

「十分っす!」

 これで俺も一端の冒険者だな!

 

 そして街を回るといい匂いがしてくる。

「お!うまそうな匂い!」

「おう!今流行りの醤油を使った肉串だ!一本銅貨10枚だ」

「流行ってんのか?んじゃ5本くれ」

「おう!まだ手に入りにくいらしくてな!だが美味いのは保証するぜ!」

 と銀貨1枚渡すとお釣りと5本の肉串をもらう。


「うまっ!これ美味いな!」

「だろ!これは売れるって確信して金貨2枚も出して買ったんだよ!」

「うお!マジかよ!元取れるのか?」

「まぁ、お試しでらしいからこれから安くなるだろうさ」

「うむ、そうしよう」

「あはは!また買ってくれよ!」


 俺はそのまま商業ギルドまで向かうと、ギルド長が外でうろついてたので何してるんだろうと見ていると、

「あ!いたぁー!」

「え?や、やだ怖い!」

「ちょっと!逃げないでくださいよ!」

「あはは、ちょっとしたお茶目?」

「醤油やばいですね!ってそれも醤油を使ってますよね?」

「あぁ、この肉串うまいよ?食べる?」

「あ、もらいます」


 2人でモグモグタイムしていると、

「あ!ギルド長!なにしてるんですか!しかもクオン様も一緒に!」

「はっ!そうでした、醤油を売ってください!」

「いいですよ?銀貨50枚でどうですか?」

「買った!買います!」


「んじゃ取り敢えず500本でいいですか?」

「はい!何本でも」

 と、倉庫に行って出す。

「では金貨250枚で!」

「はいどうも!」

 これで醤油がみんなに行き渡るだろうな。

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