第2話 佐藤俊雄


「おめぇどこ出身だ?」

「えー、地球ってとこの日本ですね」

「どこだそこ?聞いたことないわ」

「ですよね」

「あはは、まぁええわ、ほら見えてきたぞ」

 後ろのホロから顔を前に出すともう横は塀だった。

「うわぁ、おっきな塀ですね」

「ここらじゃ1番の街だで、働くのも遊ぶのも金がいるぞ」

「働くのに金がいるんですか?」

「そりゃ色々とかかるだろ?剣士なら剣を買ったりせにゃならん」

「あぁ、初期費用がかかりますね」

「坊主は頭は良さそうだげっど要領が悪そうだで気をつけろ」

「はい!」

「よし。到着だ、おめぇはこの先頑張れよ」

「はい!お代は?」

「餞別だ!頑張れよ」

「はい!」

 そして門にならぶ。


 みんな何かを見せているが俺にはないのでどうしようかな?

「よし!次!」

「はい!」

「お前身分証は?」

「すいません!ありません」

「なら銀貨一枚と選別の儀だな」

「は、はい」

 と金貨を渡すとお釣りの99枚入った袋をもらう。重いので収納に入れる。

「ほう!収納持ちか!騎士団に入らんか?」

「いえ。申し訳ないです」

「そうか、では選別の儀だ、これを触れ。」

 「ハイ」

「青に光る」

「よろしい、まれに騙しては入ろうとするやつは赤く光る」

「そうなんですね。ありがとうございました」

「ちゃんとギルド登録したら教えてくれよ?」

「はい」

 と言って門の中に入る。


「俺は商人ギルドにしよう」

 あとは売れるものをショップで探さないといけないな。

 俺は宿を探して歩いた。

 宿は大通り沿いにあり朝食付きで一泊銀貨2枚だったのでそこに泊まることにしてとりあえず10泊分頼んだ。  


 とりあえず部屋に入って一息つく。

「はぁ、やっと街にはいれたぁぁぁぁぁ」

 死んでてもおかしくなかったからな!

 あのクソメス豚のせいでこんな異世界に連れてこられたんだ!今から俺のターンだな!

「とりま、クリーン&ショップオープン」

 綺麗な体になってショップスキルを使う。

「えー。何がいっかなー上白糖とか?いや、相場がわからんからな、何を下すにしろちょっと確認は必要か」

 収納、鑑定、ショップ、生活魔法、か、後は他の魔法が使えればな。魔法屋とかないかな?明日探してみるか?


 そして夕食を下に食べに行くと銅貨30枚でボークステーキ、サラダパンにスープがついてエールも込みだったから結構お得なのでは?

「美味っ!これ美味い」

 しかも美味いときたここの宿は当たりだな!


「はぁ、まぁこれくらいはないとやって行けないよな」


 それにしても何で異世界に来ないといけないんだ?マジで何も聞かされずに来たからな!あの女神のせいだけど!

 

 というか、ステータス!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 水原 久遠ミズハラクオン 22歳

 レベル2 職業 無職

 スキル 収納 鑑定 生活魔法

 ユニーク ショップ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 おおい、無職ってなんだよ!

 新生活って言ってるだろ?

 こちとら就職決まってたんだよ!

 ふざけんなよ!

「あぁ!もう疲れるな!」

 とりあえず明日だ明日!くそっ!


 次の日もムカつくくらいいい天気!

「あー、よく寝た!昨日疲れてたしな」

 下に行って朝食を食べる。

 美味いなぁ。外を見ながら食べているがやっぱり俺の服装浮いてるよな。

 普通にパーカーにジャージだしな。

 こっちの服を買っとくか!


「あら、いらっしゃい!どんな服がいるんだ?」

「普通に着れる服が欲しい。できれば二、三着」

「あいよ。じゃあ、これとこれと」

 っとおばちゃんが選んでくれた服を買いその服に着替えてまた外に出る。


 多少のごわつきはまぁいいか、デザインもシンプルだから人を選ばないのがいいな。


「うー。楽だな!やっぱり手ぶらがいいよな!『収納』は本当役立つし!」

 こっちでの新生活も悪くないって言うかこれ以上ないくらいの手厚いスキルセットなのは認めてもいいかな?


 そうだ、何が売れてるのかなー?

 やはり砂糖の類いはあまり売ってないから狙い目だな。あとは塩か…砂糖も塩も絶対必要なのに何でこんなに売ってないんだ?


 まぁ。とりあえず上白糖と塩を下ろしに行くか!


 商業ギルドの前に来るとがらんとしていた。こんなにがらんとしてるモンなのか?

「すいません、ギルドに登録したいんですが」

「は、はい!ギルド登録ですね!お取り扱いの品は?」

「砂糖と塩ですね」

「え?佐藤俊雄?誰ですか?」

「ちげーよ!砂糖、塩、分かるか?」

「え、えー!砂糖と塩ですか!!」

「いや、声がでかいから!!」

「はい!すいませんでした!こちらへお願いします!」

 バタバタと騒がしくなってきた。

「あっ!お茶になります!すぐにギルド長がきますので!」

 ギルド長が来るのか?なぜ?

「お、お、お、お、お待たせしました!」

「そんな急がなくても」

「いえ、それで砂糖と塩を卸してくれるとか?」

「はい!これですが」

「ええ!これが砂糖に塩ですか?どっちがどっちですか?」


「あぁ、こっちが砂糖でこっちが塩ですね」

「中を拝見しても?」

「もちろん、これは味見用ですので」

「ありがとうございます!では、…あまーい!」

「そうですか?」

「では塩の方を…しょっぺぇな!」

「そりゃそうだ。で?」

「いい砂糖と塩ですね!これは売れますがお高いんですよね?」


 

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