第3話 ウリィィィィィィィ!
「いい砂糖と塩ですね!これは売れますがお高いんですよね?」
「ん?まぁ、高く買い取ってくれた方がいいけど、それより街に塩や砂糖を売ってるとこが見当たらなかったんですが?」
ギルド長は真剣な顔をして、
「それが。ある商会が砂糖と塩を牛耳っていまして、こちらに回って来ないんですよ」
「あぁ、よくありそうですね」
「それで卸していただけますか?」
「あ、いいですよ!ちょっと安めにしましょうかね」
「いいんですか!ありがとうございます!…では一袋金貨1枚でどうでしょうか?」
「別にいいですよ、それ以下、銀貨50枚でもいいですけど」
「えっ!いいんですか!それは助かります!」
「それじゃあそれで300袋もあればいいですか?」
「そ、そんなに!!本当ですか!」
本当にカツカツだったみたいだな。
「はい、では倉庫か何かありますか?」
「はい!こちらになります!」
ついて行くと塩と砂糖がほんの少ししか見当たらないな。倉庫の片隅に置いてある。
よし!ここをいっぱいにするには300袋如きじゃ足りないな。
「全部出してもいいですか?」
「はい!あるだけ買います!」
じゃあ1000袋ずつでと、ちゃんと袋に入ってるとそこまでいっぱいに感じないな。
「うお!こんなにいいんですか?」
「いいですよ!銀貨50枚で1000袋ずつなんで金貨1000枚になるけど大丈夫ですか?」
「任せてください!全然大丈夫です!」
と言って持ってきてもらった袋を確認せずに収納に入れる。
「いいんですか?確認しなくても?」
「ここは信頼して卸せそうですから、まぁ、間違ってたらそれまでですけどね」
「はい!信頼してください!」
まぁ、収納に入れた時点でわかるんだけどね。
これでいいか!商業ギルドのカードはランクSになった。
「「「ありがとうございました」」」
とギルドの職員が見送ってくれる。
「はーい!」
まぁこれで塩と砂糖の供給は大丈夫だろ!
「っと、忘れずに魔法屋に行かなきゃな」
さっき商業ギルドで教えてもらった魔法屋に行く。
どこかの古い古書店のような佇まいで整然と並んでる本の姿は美しかった。
「こんにちわ」
「あら、いらっしゃい」
とても妖艶なお姉様だが強いんだろうなぁ。
「あの、魔法を覚えたいんですが」
「どの魔法?それとも基礎から?」
「基礎からになりますね」
「あら、じゃあ魔力循環と生活魔法からね」
「あ、生活魔法はあります!」
「でも魔力循環は覚えといて損はないわよ?」
「はい!」
俺は魔力循環の魔導書と言うやつを買うことにした。金貨1枚だ。
「はい!」
「あら、ちゃんと覚える気があるのね」
と魔導書を渡してくれたので読もうとすると開かない?
「え?開かないんですけど」
「そ、そんな!…ちょっと待ってて」
お姉さんが奥から持ってきたものは水晶が10個右から赤、青、緑、茶、水色、黄、黒、白、銀、金の色の付いたものだ。
「ここに魔力を流して」
「はい」
「…うーん、ふーん、うーん」
頑張って捻り出そうとするが、
「ダメだわ!あなた適性ゼロね」
「え?」
「だから、あなた攻撃魔法使えないわよ?それでよく生活魔法覚えたわね?」
「う、嘘だ」
「まぁ、そんなこともあるわよ!落ち込まないで?ね?」
慰めてくれるお姉さんだが、
「うっうそだ!俺は覚えるんだ!」
「こ、こらやめなさい!」
「ウリィィィィィィィ!!」
無理やりなんとか頑張って開こうとしたら、
“ジリ…ガパッバラララララ”
「あっ!」
魔力循環の魔導書が開いたと同時に凄い勢いで捲れて消えた。
「づあぁぁァァァォォ」
俺の頭はどうにかなったんじゃなかろうかと言うほどチリチリに痛くなってしまった。
「ほら言わんこっちゃない!」
「おおおおお………」
俺の意識は一瞬どこかへ行ってしまった。
「あぁ、廃人になってしまったわね」
「…いや、頭はスッキリしましたよ!」
が、戻ってきたらちょースッキリ!
「え?」
「私は魔力循環を覚えた!」
「いやおかしいから」
「どこが?」
「え?あなた多重人格?」
「いや!て言うかそうかー!もう一度やってもダメ?」
「やるだけならいいけど?」
やはりうんともすんとも言わない。
「もう分かった!俺に魔法の才能は無し!」
「分かったようで良かったわ!魔力循環はできるのよね?」
「あぁ、魔力があるのはわかるようになったし、これを循環させればいいんでしょ?」
「そう!血液みたいにね」
「はい!頑張ります!!」
俺は頑張って丹田から流れる水のようにイメージして魔力を循環させる。
「いい調子よ!そのまま頑張って!」
魔力循環だけ覚えても結局生活魔法しか使えないんだよな?
はぁ、覚え損でスンとなる。
「ありがとうございました」
「はい、毎度」
外に出ると夕暮れで空がオレンジ色だ!
久しぶりに空なんて見たな!
涙で滲んで綺麗だな。
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