【第19回】たからもの(テーマ:きらきら)

幼い頃、道に落ちている正体のわからないちいさなガラクタを集めるのが好きだった。拾ったものは宝石箱みたいな空き箱に大切にしまっておいた。寝る前にその箱を開けて、宝物を眺めるのが毎晩のルーティンだった。

ある夏の暑い日、母親と公園のなかの小さな池で遊んだ後に東屋で休んでいたら、目の前の草むらの中にきらきらしたものを見たような気がした。また宝物が増えるかもしれない!母親の制止も聞かず、それに向かって走り出したとたん、強い光に包まれて、気づいたら家のベッドに寝ていた。宝箱を確かめたら、そこにはうっとりするくらいきれいなビー玉が入っていた。大人になっても大切にしているが、あれは結局なんだったんだろうか。


(了)

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