【第18回】立てない(テーマ:指)
物心ついた時から背が高いことはわかっていた。そして私は五人姉妹の真ん中で、恵まれた家庭に生まれたということも、ある時から知っていた。ひとつ上の姉と手を繋いで立つと、人々はとても嬉しそうな顔をした。私を含めた、年下三人姉妹で手を繋いで一列に並んだ時も、人々は嬉しそうな顔をした。一番上の姉とコミュニケーションは取れていたが、あまり一緒に遊ぶことはなかった。姉妹の中で一番背が高いから、他の姉妹が届かないところにあるものを取ることも多かった。姉妹はみんな楽器の演奏や、絵を描くことが好きだった。もちろん、私も。ただ、私一人が立ちあがろうとすると、なぜか人々は全力で止める。
人は私のことを、中指姫と呼ぶ。
(了)
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