【第20回】嘘は回らない(テーマ:回る)

「えぇ?ハジメくんが言ってたことほんとだったんだ…」

アヤトは目を丸くした。

「俺が嘘ついてるとでも思ったのか?」

「だから…初めて見たんだもん」

「そうだよなあ」

「CDって本当にまわってるんだね」


いとこ同士のアヤトとハジメは祖父の葬式で再会した。高校に上がり、アヤトは軽音楽部に入部した。いま練習しているバンドのレア盤がハジメの家にあるという話から、ハジメ宅に集まる約束をしたのだ。アヤトが「CDを見たことがない」と言ったとき、ハジメの脳は一度凍った。

「高速で回ることによって音が鳴るんだよ」

「まじでどういうこと?」


あの日、話は長くなりそうだと思ったが、これは想像以上に長い夜になりそうだ。


(了)

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