第13話

イラーリとの剣術練習から翌日、アーノルドは冒険者ギルドに顔を出していた。

 そこにはイラーリががっくりしたような顔でうつ向いていた。

「よう……おっさん……」

「イラーリか、何だか元気ないな」

「あー、言いにくい事なんだが、この前のゴブリンの討伐クエストの報酬はでたんだが、チャンピオンの分の討伐報酬は支払われねえらしいんだ……」

「どういう事だ?イラーリに言われた通り、討伐部位を剥ぎ取って提出したが……」

「ああ、危険度の高いモンスターを倒した場合、特別報酬として、そのモンスターに合わせて報酬がでる。だが、オレたちはFとE、たった二人でゴブリンチャンピオンを倒せるわけがねえって却下されちまった。くそっ!」

「そうか、それは残念だ」

「残念って……おっさん!これはおっさんの金と名誉だぜ!それがダメになっちまったんだ!抗議するべきだぜ!」

「いや、いい。それよりクエストを受けよう。まだまだ学びたい事がある」

 その言葉にイラーリは目を丸くした。

「何言っているんだ!?こういうのはガツン!と言わないきゃ!これが通れば一気にランクアップだってできるかもしれねえ!そんぐらいのすげえ事なんだぞ!」

「いや、言わない。向こうは向こうの仕事をしただけだ。俺達はFとEで本来なら倒せるはずがないレベルなんだろう。疑われて当然だ。それに俺はまだFランク冒険者でいい。下手にランクを上げられても、俺はまだFランクのクエストですらよくわかってないんだ。ランクを上げられて難易度の高いクエストを頼まれたり、仕事ができると思われても……困る……」

「おっさん……でももったいないぜ……」

「もう終わった事だ。それに抗議する暇があったら何か行動して人の為になる事をして金を貰った方がいい」

「あー!わかったよ!わかったわかった!負けだぜおっさん!」

 そういうとイラーリは少し不貞腐れつつもしょうがないという顔をした。

「幸が薄いおっさんに良いクエスト回してやる。そのクエストは護衛だ。贔屓にしてもらっている人からのを一つ紹介してやるよ」

「いいのか?」

「ああ、正直、一人だと不安なクエストだったんだ。信頼出来るやつも誘って良いと言われたが、おっさんほど信頼できるやつはいねえ。有象無象と組むよりおっさんと受けたほうがいいぜ!」

「会ってそんなに立っていないだろう。止めておいた方が……」

「護衛クエストってどんなのかわかるか?」

「言葉的に人を守るクエストか?」

「うーん、ちょっと違え。盗賊といった敵から商人の商品と人を守る仕事だ。だから一人で守るってのはできない。少なくとも2人以上でないと物か人の二択になっちまう。

そこで複数人でクエストを受けるときだが信頼できねえやつが紛れ込むとどうなると思う?」

「情報を売られる……か?」

「その通りだぜ!」

 イラーリは話が早い!と言わんばかりにいい笑顔で答えた。

「盗賊に情報を売るやつはよくいる、それだけ金が絡むし、悪い奴らからの目線だと、悪い意味で簡単に利益が出ちまうんだ。その点でおっさんは金でなびかねえ。それだけで信頼するにあたる。」

 そうイラーリは呟いた。

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