出会いは突然に

「はぁ.....やっぱり来ないな」


あの出来事から数日後、俺は、いつも通りの日常を送りつつ、入居者が来ないことを嘆いていた。


「まぁ、気にしても仕方ないし、気長に待つか」


待てば海路の日和ありっていう言葉もあるし、待つこともだいじだよな。


「しっかし、あの祠は一体何だったんだ?」


結局、例の祠に行ける道は綺麗さっぱり消えていて、そこに行くことすら出来なかった。

だとすれば.....あの時の出来事は夢だったのか?


「でも.....夢だとしても出来すぎているな」


現に、あの日の出来事はいまだに覚えているから、何とも言えないんだよな。

そんなことを考えながら、歩いていると


「ん?」


道の真ん中で、キョロキョロと周りを見渡す外国人らしき女性がいた。

.......しかも、中世風の衣装を着ているというオマケ付き。

てか


「綺麗だな〜」


あの人.....女優か?

そう思いながら、近づいてみると


「あの.....ここがどこかご存知ですか?」


女性は、俺に対しそう尋ねてきた。


「えっと.....その、日本です」


俺がそう言うと、女性は目を見開き


「ということは.....ここは東洋なのですか!?」


ビックリとした表情で、そう叫んだ。


「あ、はい。アジアと言えばアジアですけど....」


今頃、アジアのことを東洋呼びする人がいたのか.......

俺がそう思っていたら、その女性はポツリとこう呟いた。


「おかしいわ。私、確かにで処刑されたはずなのに.....」


.....ん?ちょっと待って。

ギロチンで処刑された?

ギロチンって、フランス革命とかで出てくるアレ?

お医者さんが考案したっていう、例の首チョンパのアレ?

ついでに言えば、エンターテイメント化してたっていうアレ?


「大丈夫ですか?」

「あ、いや、何でもないです」


んで、ギロチンで処刑された人の中で、有名な人は......


「マリー・アントワネット.......」


だったはず。


「まぁ!!あなた.....どうして私の名前を?」


......え?


「それよりも、ここは東洋のどこですの?」


ま、まさか......


「も、もしかして....マリー・アントワネットご本人、ですか?」

「えぇ、そうです。私の名前はマリー・アントワネット。正確に言えば、マリア・アントーニア・ヨーゼファ・ヨハンナです」


ニコりと笑いながら、そう言う女性.......もとい、マリー・アントワネット。

マ・マ・マ......


「マジかぁぁぁぁぁぁ!!」

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