第40話 ドッキリ演出と才能
YouTubeで結構見かける動画のパターンというかジャンルとして、一種のドッキリ演出ものがある。
例として、こんな感じというのを、いま作ってみるとこうである。
ピアノ教室に授業体験しに来た冴えないオッサンは実はプロのピアニストだった。
塾に入りたいと来た陰キャ女子生徒は、実は数学オリンピック出場者だった。
つまり、ピアノ教室の例で言えば、ピアノの先生の前で中年男性が或るタイミングで、いきなりプロ級の演奏を始めるので、先生や周囲の人々が驚いてしまう、というような内容になるであろう。
僕は、これのどこが面白いのかが、分からないのである。
周囲の人々の表情・態度が変わるのが面白いということなのだろうか。
そうだとしても分からない。
周囲の人々の対応が変わるのは当然であるし、仕掛け人がプロであるというのならプロ級の演奏ができるのは当然ではないか。元々、数学が得意な女の子が、いきなりホワイトボードで難解な問題を解きだしても当然である。
この、僕の「分からなさ」というのは、僕の才能観(?)が元にもなっているかも知れない。
ピアノの演奏が巧いからどうだというのであろう。難解な数学問題が解けるからどうだというのだろう。
それをただ、誇示されるだけであるならば、何も感じられないのである。
だから、どこかの広場等公共の場に置かれたピアノで、何かを演奏したら、周囲の人々の反応がスゴかった、というようなパターンの動画もあると思うのだが、こういうのも分からない。
視聴者は、演奏者と同一化することで愉しめるということなのであろうか。
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