第41話 吹き出し内の声
ThreadsというX(ツイッター)に類似したサービスであるが、眺めることがある。
それで僕としてはびっくりした感想のものがあったのだが、それは、ACジャパンの広告についてだ。
それは、漫画風の画像を使った「聞こえてきた声(全国キャンペーン)」である。「ジェンダー平等」がテーマだそうで、ビル建築物の絵に《「我が社の 経営方針を 発表します」》という吹き出しが提示されたりして、あなたには、どんな声に聞こえましたかというものである。
検索してみると、この広告には政治社会的な意味で賛否両論があるようだ。しかし、僕がびっくりしたのは、そういう意見そのものではない。
僕がThreadsで見かけた感想は、「男声にも女声にもどちらにも聞こえなかった。自分の声に聞こえた。だから、広告の意味が分からなかった」というようなものだった。
これが本当であるとするならば、僕は、びっくりするしかない。確かに、自分の読む声が聞こえるかも知れないが、それは例えば、高齢者風や若年者風で男性風や女性風な雰囲気を帯びたものではないのか?
吹き出しの会話文を見て、演出がかった声に聞こえない、フツーの自分の声にしか聞こえないというのは、僕には信じられなかった。
僕が初めてこの広告を見かけたときには、民家を背景にされた赤ちゃんをあやす声は若い女性に、ビルを背景にされたスピーチの声は年配の男性に、僕には聞こえたと記憶している。広告制作者が意図した通りの反応をしたのだろうと想像される。
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