第4話 消費のなかの藝(ダウンタウン)
東浩紀さんと笠井潔さんの往復書簡『動物化する世界の中で――全共闘以降の日本、ポストモダン以降の批評』を読むと、笠井さんが《……吉本氏の場合、たけしや松本人志をめぐるエッセイを読むと、漫才や落語などの伝統的話芸にかんしては、オタク的に一家言ありそうな雰囲気です。半分冗談ですが、『マス・イメージ論』は、お笑いにおける話芸の革新を中心に構想されるべきだったかもしれません。》と書いている。
後ろにある『マス・イメージ論』云々は分からないが、吉本隆明の松本人志論が際立って鮮やかであったのは確かであり、この文章のほかに、そのことを指摘したものを僕は見かけたことがなく、それが不思議なくらいである。
『消費のなかの芸――ベストセラーを読む』という本に「松本人志『遺書』『松本』」という項があるのだが、そこで《ダウンタウンのお笑い》についての読解がなされている。
僕は或る時期まで、ダウンタウンが出演する番組の熱心な視聴者であった。それにもかかわらず、西暦2000年前後に読んで説得された文章であった。この文章が世間であまり知られていなさそうなのが、本当に不思議である。
雑誌「日経エンタテインメント!」で、「ダウンタウンのごっつええ感じ」がクリエイターに与えた影響は大きいみたいに、高評価的に書かれてきたけれど、いま思うと初期の「ダウンタウンDX(デラックス)」の方が一番、僕には好みだったかも知れない。大物ゲストを招いてのトークがあった時期や、その後のクイズ・ゲームをやっていた時期。
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