第3話 選べば、あなたの一年間が現れる
12種類の星座記号の描かれたアストロサイコロを転がしてメモしていく。
次に1~30までの数字カードから1枚を選んでカードを開き、出た数字を先に書き出していた星座記号のメモの下に書いて、この二つを合わせる。何らかの星座と何らかの数字がセットされていき、これで12種類のセットを作り終えた。
メモには上段に6枚、下段に6名を並べて、順番に番号を振っていった。上段の左から①、②、③……⑥、そして下段の左から⑦、⑧……⑨……⑩、⑪、⑫、と計12個。
店主が今回予定していた12種類のサビアンシンボルカードのセットがようやく揃ったところで七色は言った。
「これからの1年間を表わす12種類の用意がこれで出来ました」
やがて「七色書房」を訪れる方々や縁のある方々のために、店主は独りで話し始める。実際にこの中からひとつを選んでもらうことで、自分の一年間を象徴しているサビアンシンボルと出会うことになるのだ。結構ドキドキソワソワするものかもしれない。何しろ365日ある一年間丸ごとを象徴しているというのだから、そのシンボルを時折気にしながら歩いて行くことにもなるだろう。そんな想像をしながら、いくつかの行程を経て引っ張り出した12種類のシンボルたちが、より希望が持てるものであることを願った。
「さあ、これだと思う①から⑫までのこの12種類から、ひとつを選びましょう」
「そして、あなたのこれからの一年の傾向を占うことにしましょう。あなたに縁のあるサビアンシンボルと出会います」
そもそもこの占いと街の人たちが出会うのは、おそらくは多くの場合は夢の中である。あるいは少ない可能性としては、とある場所に置いておくことにしたので、その場所に縁のある人たちは出会うことになるだろう。
七色は準備を続けた。
「まず、軽く目を閉じて、深呼吸をしましょう」
「そして静かにゆっくりとした呼吸を意識して、その呼吸を少しの間続けて下さい。やがてゆっくりとした静かな呼吸が馴染んできて、だんだんと自分の内側が静かになってきました。」
「あなたのこれからの一年が①から⑫の数字の中からひとつ見えて来ます」
「①~⑫の、この中から、ひとつを選びましょう」
「どうしても他に気になるものがあれば、サブ的なものとしてもうひとつ選んでもいいでしょう。今では無くても、後ほどまた選んでも大丈夫です。その場合の選んだ二つ目は、背後に隠れているパッとすぐに見えてこないものだが重要なヒントになるものとして捉えたり、1枚目にプラスされるサブ的なアドバイスとして捉えてみましょう」
選んだ後は、次に続く各番号からのあなたのこれからの一年をさっそく見ていきましょう。
「さて、あなたは①~⑫の中からどの番号を選びますか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
① ② ③ ④ ⑤ ⑥
⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
これで12種類の一年が占われていることになる。
七色書房の店主である七色は春分からの一年間を象徴する占いメッセージのセットを作っていた。それが仕上がって、次の行程へと入っていく。
(①~⑫のこの中から、ひとつを選んでくださいね)
①~⑫のそれぞれは開くと、このようになっていた。
アストロサイコロと数字カードによって導き出された360個の中からの12種類のサビアンシンボルである。
今回、七色が多くの可能性の中から取り出した12種類を①から⑫まで順に並べてみる。
①を選んだあなたの星座と数字のセットは、双子座で20度。
サビアンシンボルは「カフェテリア」
②を選んだあなたの星座と数字のセットは、天秤座で3度。
サビアンシンボルは「新しい日の夜明け、すべてが変わった」
③を選んだあなたの星座と数字のセットは、山羊座で26度。
サビアンシンボルは「水の妖精」
④を選んだあなたの星座と数字のセットは、蟹座で21度。
サビアンシンボルは「歌っているプリマドンナ」
⑤を選んだあなたの星座と数字のセットは、射手座で13度。
サビアンシンボルは「明るみに出る未亡人の過去」
⑥を選んだあなたの星座と数字のセットは、乙女座で19度。
サビアンシンボルは「水泳競争」
⑦を選んだあなたの星座と数字のセットは、天秤座で11度。
サビアンシンボルは「眼鏡越しに覗き込んでいる教授」
⑧を選んだあなたの星座と数字のセットは、乙女座で16度。
サビアンシンボルは「オランウータン」
⑨を選んだあなたの星座と数字のセットは、蟹座で18度。
サビアンシンボルは「ヒヨコのために土をほじくる雌鳥」
⑩を選んだあなたの星座と数字のセットは、牡羊座で7度。
サビアンシンボルは「二つの領域でうまく自己表現している男」
⑪を選んだあなたの星座と数字のセットは、天秤座で14度。
サビアンシンボルは「正午の昼寝」
⑫を選んだあなたの星座と数字のセットは、牡牛座で12度。
サビアンシンボルは「ウインドウショッピングをする人々」
以上、①~⑫まで、12種類である。
まず最初に、双子座の記号と数字の20から「双子座の20度」というサビアンシンボルが決定したので、これを①番として、その象徴する一年間とはどういうものなか、店主の七色はその意味とするところについて喋り始める。側にある音声入力がスタートしていた。記録を取っているのだ。
誰もいないこの七色書房の一角にある机に向う店主の声が小さくもハッキリと響き、そして机の上には先ほどまで忙しくしていたアストロサイコロと数字カードが静かに置かれて並んでいた。
①番目のサビアンシンボルから順に七色は空中に向って、これからの一年についてを読み上げ始めた。
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