小学三年生
ある日、学校でピアノが弾ける人を対象に、オーディションを行うという話があった。目的は、文化祭のピアノ伴奏のメンバー選出のため。
今弾いている曲を持ってきて弾きなさい、ということで、学年の先生二人と、オーディションに来た十人くらいの中で弾いて、オーディションに落とされた。
曲は二曲あるということで、別のクラスの人、二人が選ばれた。
だが、文化祭があと三、四週間に迫ったある日、事態は起こった。
「オーディションに選ばれた二人が弾けないと言っている! 誰でもいいから弾ける人はいないか!」
そんな緊急のお知らせがあり、とりあえず楽譜をもらった。
家に持ち帰り、母親に楽譜を見せると、母親は楽譜を一瞥して言った。
「あなたは弾ける」
それから、放課後猛特訓の日々が始まった。そして、たしか一週間経たずに、あっさり弾けるようになった。
「多分、弾けます」
先生に伝えたら、ものすごく喜ばれた。
文化祭までの期間に二曲を仕上げ、本番も何事もなく終わった。
斯くして私は、学年に「ピアノが弾ける人」と認識されるようになった。
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