黒鍵と、白鍵と、黒歴史と
郷野すみれ
そもそもの発端
私の母親は、私を産む前までピアノの先生をやっていた。
ピアノの前に、他の楽器を習い始めたこともあり、私が五歳頃のある日、電子ピアノが家に来た。
「ピアノはやっておいて損はないから」
と、母親が私にピアノを教えるためだ。
それから始まる猛特訓の日々。
「楽器は毎日練習しなさい。一日練習しなかったら、三日分遅れる」
家訓のように唱えられた言葉。
普通だったら、家で練習、週一でレッスン、という流れのはずだが、家にピアノの先生がいるという状況のため、練習中につきっきりで少しでも間違えたら「そこ、違う!」と怒られる。
後から聞いたところ、才能はあるが、好きではないので途中でやめると早々に感じた母親が、猛スピードでピアノの曲を進めていたらしい。
家庭でしか為せない技である。
そのおかげもあり、基礎はともかく、そこそこ弾けるレベルにはなっていた。
……小学三年生の時点で。
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