第8話 すっかり。
初めて、ちーちゃんを自宅に招いてから数日後。彼女は私を置いて海外に行ってしまった。
『明日、早朝に出るのでもう寝ます。』
との素っ気ないメッセージ。仕事から帰り、お風呂に入っている間に、彼女は寝てしまっていた。つまり、前日から話せていないわけで。
「くっ、、寂しい。。」
素直に、向こうに着いてからも連絡してと言えば良かった…とも思う。だけど、どうせ二週間でしょ?すぐだよ!………という、強気になってみようとも思う。心がざわつくぜ…。
朝起きてすぐにメッセージの確認をすると、『行ってきます。』とだけ。慌てて電話をかけてみたけれど、すでに電源が入っていなかった。
仕事中、何度も彼女のことを考えては、恋しくなってしまっていた。
「いやいや。別に…、一週間会わないとか全然あるし。これは気分。会えないとわかっていると何故か会いたくなる一種の暗示よ。」
しかし、歳下の彼女のほうが一枚上手なのか…、駆け引きなのかは知らないけれど、それから一週間、何も連絡が来なかった。
「さすがに…、寂しいより心配なんだけど…。なんなの、あいつ。」
寝る前に、小さい声で「千夏…」とつぶやいた。とうとう、私は彼女に落ちてしまったようだ。
確かに…、一人で寂しいからなのは否めないけど、だとしても今の私が執着しているのは彼女なんだ。
「帰ってきたら、、付き合おうね。」
そう言って、残りの7日間の夜は体を丸くして眠りに落ちた。マジで、奴は一度も連絡してこなかったということなの。愛を疑うよね。毎日連絡取ってるんだから、私が大いに脈在りなんてわかるはずなのに。
「早く会いたい。早く会いたい。早く会いたい。早く、会いたい。」
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