第3話 甘酸っぱいのは良いから。いかの塩辛くれよ。

「あ…。」

「え?…あっ!」


 ちょっと仲良くなった、あの子が今日もいれば良いなって思っていた。2日連続で同じ店に…、しかも居酒屋に一人で来るなんて。したことないからね。ちょっと人見知り的な気持ちでドキドキしてたの。いてくれたら良いなとは思ってたケド…


「え、座ってる。え、今日はお客さんで来てるの!?」

「あ、はい。今日はシフトじゃないので。」

「そーなんだね。あ、えーと…」

「すっ、座っ!ここっ、隣っ!どぞっ!!」


 あはは。今のは私の目線のせいだね。そこに座ってもいーい?って目を私がしたわ。座って良いなら物凄く助かるケド。


「いーの?誰か来たり?」

「一人です!どぞ!」

「わーい、ではお言葉に甘えて。」


 とか言ったけど、、この子、オフなんだよね?気を遣わせないようにしないと…。てか、会話はずむかな??というよりそんなに話しかけるもんでもないか??


「わ、わ、荷物こっちに置きますよ!あっと、はいっ、メニューです!あっ!お、お名前は!なんとお呼びすれば!?」


「あ、ありがとう。なにからなにまで。どうぞお気を使わずに。というかお気を確かに(笑)名前は、千夏。好きに呼んでね!」


「…え。ええっ〜!!?」


「ええ!?な、なにかおかしかった!?あ、苗字のが呼びやすいか…。」


「あっ、すみませんっ!そーじゃなくって!あの…わ、私もなんです…名前…。千夏…なんです。」


「うわぁ〜!まさかの〜。そーなんだぁ!じゃあわかりにくいから呼び方を…」


「な、なんてこったい…。お母さんめ…同じ名前をつけるなんて…なんてことを…。」


「こらこら。名前つけてくれた人の悪口いうんじゃないの〜!」


「だって…一緒の名前なんて…可能性が、、あっ!!」


 ん?可能性とは??てか、え?なに?この子、真っ赤なのって…え?そーいう感じ?


「じゃ……とりあえず……店員さん。まず、飲み物頼むね。」


「あ、そうですね!その後、日本酒は飲んでますか??」


「あははっ!昨日の今日だよ?おかげさまで、昼過ぎまで寝てました!本当はね〜、今日は飲むつもりなかったんだけど…あ。」


 私はとりあえず、近くを通った別の店員さんに、レモンサワーを頼んだ。さすがに初っ端から強いお酒を飲める気がしなかったから。


「そう言えばね?これ、クレームじゃなくて笑い話なんだけど…、昨日いかの塩辛を食べてないんだよね。」


「はい?…………ん?私、おすすめしましたよね。え?もしかして、おすすめしておいて出してませんでした!?」


「そのまさか〜。それをね、思い出したの。で、ちょうど嫌なこともあって、今日こそ食べてやる!って思って来てみたの。」


「わー!ごめんなさぁい!お会計にはいってませんでしたか!?」


「あ、うん。レシート見たけど、入ってなかったよ♡」


「ごめんなさい〜。今日、お詫びに塩辛は私が頼みます。。」


「あはは。そんなのいーんだけど、、じゃあ、私の愚痴を5分だけ聞いてくれたら許す〜。」


「ごっ、5時間聞きます!とりあえず、私のたこわさも食べてください!えっと、ち、千夏さん!」


 やだ。いい子。じゃあ、お互いに頼んだものをシェアしちゃえばいっか。さりげに多めに払うようにすれば…


「5時間も話すほどの愚痴じゃないのよ。ただ、恋人がモラハラっぽくて別れたの。そんだけ。」


「嘘っ!わーーーーーっっっ……かれたんですか!?」


「そー。それでちょっとね。」


「モラハラだったんですか!?私っ、前に見たことあります!一緒に来てたことありますよね!?」


 は?マジ?私がここに一緒に来たのは…あの人だけよ??つまり、この子はわかってて言ってる?


「え、あのさ?私の恋人…いや、元だけど…わかるの??その、」セイベツ…


「あぁぁっ!!また余計なことをっ!駄目だ!私はお酒を飲んで話してはいけないっ!!」


「じゃあ、前から覚えてくれてたってことね?」


「はぁ、、まぁ、、すみません。」


 いや、店員の鏡だと思うだけなんだけど…。でも、覚えてもらえるほどは来てないと思うのに。


「もしかして……店員さんって……こっち側??」


「は、はい。カップルだーって気づいたので。覚えてました…。」


 なるほど。じゃあ?さっきのって…


「千夏さんが、とてもタイプだったのも…あります。。」


 でたーぁ!そーくるのかぁ!!


「か、顔が、、真っ赤だよ??」


「に、日本酒飲みましょう。。」


「う、うん。」


 明日、休みだし。飲むか……。


 続く。

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