いまちゃんの涙、涙、涙。
ピリピリとした空気に包まれる、いまちゃんの
いまちゃんは、外で見た時と同じ表情同じ格好で壁に寄りかかり、黙ったまま圭太さんと向かい合っている。
テーブルには圭太さんのお父さんお母さんである雄一郎さんに
「はん。朝っからトンデモ
「伊万里……」
ドンッ!!!
(!!!)
握りこぶしの外側で、いまちゃんが壁を叩く。
空気が、震えている。
「そりゃ、墓参りに行かせてもらえねえ訳だ! ガキだってわからあな! 墓にお前の名前が刻まれてなきゃあよ!」
いまちゃんの怒りに、みんなが押し黙る。
「い……まり。ごめん」
「謝ってんじゃねえよ。聞け。いいか? ガキにだって夢はある。未来を描く。あん時のあたしにだってあった。頑張って生きるお前の力になりたい、一緒に生きたいって夢や未来がよお!」
唇を噛み締めながらいまちゃんを見つめる圭太さんから、いまちゃんは一瞬も目をそらさないまま口を開いた。
「わからなくはねえ、優しいお前のことだ。あん時のお前なりに、病気と闘っている中で、一生懸命に考えて出した答えなんだろうよ。そうなんだよな? 圭太」
「…………うん」
顔を青ざめさせながらも深く頷いた圭太さん。
「伊万里、お前の気持ちは分かるが……少し落ち着きなさい」
「圭太だけじゃないんだ。幼い圭太の必死な気持ちを、想いを汲んでしまった親の、私と友梨の責任が大きい。この通りだ」
「伊万里ちゃん……ごめんなさい」
ふわり。
片手をかざして、一樹おじさんたちの言葉を
「父さん、おじさん、おばさん。今はあたしのターンだ。言わんとすることはわかる、わかるんだ……けど、言わせてくれないか」
その言葉と、いまちゃんの静かで醒めた目線に一樹おじさん達が口を閉じた。私と秋人君は口をはさむ事さえできない。
「ギリギリの中であたしに悲しい思いをさせたくなくって、それでも必死にあたしとの未来を願って、
ドンッ!
ドンッ!!!
いまちゃんの気持ちが籠ったような、壁を叩く音がまた響く。
「あん時のあたしがどこにもいねえじゃねえか! 必死こいて
「!!!」
いまちゃんの言葉でよろめいた圭太さんが、テーブルに手をついた。
「い、いまちゃ……」
いまちゃんの瞳から、大粒の涙が零れ落ちた。腕で何度拭っても止まることのない、いまちゃんの涙、涙、涙。
私の差し出したタオルに首を振るいまちゃん。
「もういい……全部分かった。お前の気持ち、あの頃のこと、この十年お前がどれだけ頑張ってきたか……。元気でよかった。生きててよかった。でも、なんも考えられねえ。帰ってくれ」
「伊万里……ごめん。子供の考えだった、本当にごめん」
「もうわかんねえよ! 帰ってくれって言ってんだろ!!!」
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