いまさんの言葉……引っかかるんだ。

 いまちゃんは私達を散々からかって、言った。


「アイツを奪った病気をこの世から消しさってさ。向こうでアイツにホメられるまでは、あたしのイチャラブはお預けだ。せいぜいあたしを楽しませてくれよ?」


 だはは!と笑ういまちゃん。


「大切なヤツと二度と会えないとか、んな訳あるかよ。そうだろ? ま、アイツの葬式も墓参りも行けてないあたしだけど、さ」


 そう言い切った私たちのキューピッド。


 初恋の人と、いつの日か未来で巡り逢い、


『見つけたぜ? 早くホメろ! 撫でろ! ぎゅうっ、としろ!』


 と好きな人に言っているいまちゃんを想像してしまった秋人君と私は、タイミングよく顔を見合わせて笑ってしまった。


 いまちゃんなら、きっと逢える。

 きっと逢えるって……信じてる。




 お昼休み。


 お弁当を食べている秋人あきと君の顔が浮かない。


「秋人君、お弁当……美味しくなかった?」


 楽しいお昼ご飯でがっかりさせちゃった……。


「え……ああっ! 違う違う! 今日のお弁当も美味しいよ!」


 その言葉に、ホッとする。


 でも、表情。


「何か、心配事?」


 無理に聞いちゃいけないんだろうけど、秋人君の元気がない理由、知りたい。


 すると、秋人君が慌て始めた。


「そんなしょんぼりしないで! 今、考えてた事話すから!」


 秋人君は私の手を、包み込むように優しく握ってくれた。


 あ、離しちゃヤダ。

 ぶー。


「朝のいまさんの言葉……引っかかるんだ。それが気になってて」

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る