桜並木の下
桜並木の下。
同じ制服で並んで歩く私といまちゃん。
「だい!だい!ダイナマイトっ!か……ほんっとカッコいいな、ハルは」
「言ってないよ!」
だははー! と笑ういまちゃんの制服の袖を掴む。頬を膨らませていると、ふと周りが気になった。
私達を。
いや、いまちゃんを見てる人がいっぱいいた。
誇らしくて、うれしくなる。
ステキで可愛くてカッコいい私の従姉妹。
と、その時。
「ハル、いまさーん!」
私たちは同時にふり返る。
「もうどこから見ても姉妹っス。この前も間違えられたんですよね?」
「!!」
いまちゃんと私が姉妹に見えるなんて、嬉しすぎて口元が緩んでしまう。
「わかっちゃねえな秋。彼女と他の女の見分けつかねえとか、大減点だぜ?」
「いえいえ、俺は見分けつきますよ?」
「ほー。あたしがハルだよ、見て見て♡」
「うわあ?!」
秋人君の近くでいまちゃんが、腕で胸を強調する。秋人君の制服の袖を、ぐぐぅ! と掴んでしまった。
「秋人君、私の目を見て答えてっ!」
「は、はい」
「ふわふわのふにふにがいいんだ、ぽよぽよがいいんだ……!」
「何故俺がごめんなさいする流れになった?!」
「心配すんな! あたしの胸、高校から成長したんたぜ?」
「ふおおお……!」
「男子がここに、目の前にいますよー」
●
あの日、秋人君の涙が止まった後。
本当の気持ちを伝えた後に大泣きし続けた私に、秋人君はずっとずっと、背中と肩を優しく撫でてくれていた。
『今日、一緒に帰らない? ずっと話せてなくて、話したいことが山ほどあるんだ』
そう言ってくれて。
そう、言ってくれて。
仲直りできたんだって実感できたことに、私がもっと大声で嬉し泣きして、藤倉君を待ってた金澤君たちまでまきこんで。
そして。
前よりもっと楽しく過ごす事ができた藤倉君と日々の中、迎えた卒業式の日に……私たちは、想いを形に変えた。
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