友達として
「ごめん……情けないところばっか見せちゃって……。俺のこと、かばってくれてありがとう」
制服に付いた土を払いながら頭を下げる藤倉君に、首を横に振ることしかできない。
「アイツら……金澤たちにあんな言い方や態度をされたの初めてだったからびっくりしたけど、いつもはすげえいいヤツらなんだ。情けない俺に力をくれようとしてたんだと思う。だから……悪く思わないでほしい」
そう言われてみると……藤倉君に冷たい言い方をしたあと三人ともどこかしら、少し辛そうな顔をしていた気がする。
……だとしたら。
「ううん……私こそごめんなさい。言いたいことばっかり言って……」
カッとなって。
周りも見ずに勢いだけで文句を言った。
サイアクだ。
恥ずかしい。
「謝んないで。嬉しかった。嬉しかったんだ。いつもニコニコしてて静かな及川さんが、俺のことであんなに怒ってくれた。それに……俺だって謝んなきゃいけないのに、一生懸命謝りに来てくれた」
「それは……悪いのは私だから……」
「そんなことない! 俺……もっと、好きに……」
「……え?」
心臓が、ドクン、と跳ねた。
好き?
好きって?
「俺…………及川さんの友達でいたい」
友達。
友達として、好きってことかも。
でも。
いつかまた、二人で楽しく笑いあえる日が来るなら。
藤倉君の背中を遠くから見て、泣かなくてすむのなら。
……いいの?
友達でいても、いいの?
不安そうな藤倉君が、私を見てる。
答えないと。
早く。
早く。
答えないと。
「わ、私」
「及川さんの一番になりたいって思ってる、友達に戻りたい」
「?」
どういうこと?
一番?
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