私、何してるんだろう。

 泣く私を、いまちゃんは何て思うのだろう。これじゃ私のことだってバレちゃう。早く涙を止めないと。ミニタオルで涙を拭きながら、いまちゃんの顔を見る。


 目が合ったいまちゃんは、何も言わずに笑って首を傾けてる。『しょうがねえなあ』みたいな、優しくて面倒見のいいお姉ちゃんの顔。


 でも。


 いつもとちょっと違う。一瞬だけ寂しそうな、悲しそうな笑顔だ。私がウソをついているのをわかって、そんな顔をしてるのかもしれないと思うと胸が苦しくなる。


 私、何してるんだろう。


 ウソばっかりついて、藤倉君を苦しめて。今度はいまちゃんにこんな表情をさせて。


 自分で悪い方に悪い方に進めてるだけだ。


 もう少ししたら。


 もう少ししたら自分のことだって言おう。



「ハル。結局、友達はどうしたいんだ?」


 いまちゃんは結局、私が泣きやんで落ち着くまで時間をくれた。まだ、友達の話のままで聞いてくれてる。


「とにかく謝りたいのと、できれば友達に戻りたいんだと思う……。でも、勇気が出なくって」


 おはようって言ってもいい友達に戻りたい。


 時々でいいから。

 ほんのちょっとでいいから。


 藤倉君の笑顔が見たい。


「謝る、ね。謝って何がどうなんのか、今は置いておく。で、いつ謝るつもりなんだ? ソイツ」

「……きっかけがあれば、すぐにでも謝りたいんだと思う」


 藤倉君と話すきっかけさえ、見つけられたら……。



 

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