私、何してるんだろう。
泣く私を、いまちゃんは何て思うのだろう。これじゃ私のことだってバレちゃう。早く涙を止めないと。ミニタオルで涙を拭きながら、いまちゃんの顔を見る。
目が合ったいまちゃんは、何も言わずに笑って首を傾けてる。『しょうがねえなあ』みたいな、優しくて面倒見のいいお姉ちゃんの顔。
でも。
いつもとちょっと違う。一瞬だけ寂しそうな、悲しそうな笑顔だ。私がウソをついているのをわかって、そんな顔をしてるのかもしれないと思うと胸が苦しくなる。
私、何してるんだろう。
ウソばっかりついて、藤倉君を苦しめて。今度はいまちゃんにこんな表情をさせて。
自分で悪い方に悪い方に進めてるだけだ。
もう少ししたら。
もう少ししたら自分のことだって言おう。
●
「ハル。結局、友達はどうしたいんだ?」
いまちゃんは結局、私が泣きやんで落ち着くまで時間をくれた。まだ、友達の話のままで聞いてくれてる。
「とにかく謝りたいのと、できれば友達に戻りたいんだと思う……。でも、勇気が出なくって」
おはようって言ってもいい友達に戻りたい。
時々でいいから。
ほんのちょっとでいいから。
藤倉君の笑顔が見たい。
「謝る、ね。謝って何がどうなんのか、今は置いておく。で、いつ謝るつもりなんだ? ソイツ」
「……きっかけがあれば、すぐにでも謝りたいんだと思う」
藤倉君と話すきっかけさえ、見つけられたら……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます