くるり、くるりくるり
本屋を出たら、テニスラケットを持った男子とすれ違った。
藤倉くんじゃなくて少しがっかりで、ホッとして胸がぎゅうってなる。さけられてても、目をそらされても……会いたいって気持ちは変わらなくって苦しい。
藤倉君は今頃、部活でラケットを握りしめて頑張ってるだろう。
こないだまでは図書室で勉強をしながら、藤倉君を見れたのに。窓から見えるテニスコートで、走り回る藤倉君にドキドキしながら『かっこいい! がんばれー!』って応援できてたのに。
でも、今は。
頭の中で、いろんな藤倉君が。
くるり、くるりくるり、と回る。
変顔で笑わせてくれた藤倉君。
ニコニコと手を振る藤倉君。
楽しそうに部活の事を話す、藤倉君。
さびしそうに苦笑いしていた藤倉君。
私と目があって、びくり、とする藤倉君。
気まずそうに目をそらす藤倉君。
私から目をそらす、藤倉君。
涙をガマンしながら、またトボトボと歩く。
私の、せいだ。
ごめん……なさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます