蛍光灯

蛍光灯は夜に咲く

光という花粉を撒き散らして

蛾を引き寄せる

そんな一輪の花


蛍光灯は綴り続ける

別れてまた繋がるような

繰り返しの日々を彩る

そんな一枚の手紙


蛍光灯は透かしている

夜という暗がりに起こる全てを

その明るさでなだらかに

そんな一組の窓


蛍光灯は灯り続ける

いろいろな暗がりに支配された

小道に沿う家家を励ます

そんな一本のコメディ番組


蛍光灯に寿命が来た

静かに、ゆっくりと暗くなる

窓を見つめて、夜を眺めて

遥かなこの世界と、

出会わなかった全てに思いを馳せて

鈍い痛みの後に

その伸びやかな一生を終えた

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