無題(自身が壊してしまった)

「い章」

俺は終わりが怖かった。

だから俺は夕日を溶かした。

絵の具のように、どろどろに。


俺は始まりが怖かった。

だから俺は朝日を冷ました。

熱い鉄のように、じんわりと。


俺は隔たりが怖かった。

だから俺は山を蹴飛ばした。

ボールのように、一息に。


俺は感情が怖かった。

だから俺は一人になった。

漁火のように、ぽっつりと。


俺は空白が怖かった。

なのに俺には何も無い。

全て俺が壊してしまった。


俺は静かに死んでいく。

何にもないから、死んでいく。



「ろ章」

ここには何にも無い。

い章が全て壊したから。



「は章」

何にも無いのに、まだ求める!

人間の怖いところだ。


人間は求め続ける、例え空虚でも!

人間の愚かなところだ。


壊した!壊した!全て壊した!

そこには空白が残っている!


空白は人間の好物だ、大好きだ!

空白は不幸の副産物である。


不幸だ!不幸だ!俺は不幸者だ!

親孝行も出来ない馬鹿者だ!!


感情が過ぎた後の空白を、感情が貪る!

ああ恐ろしや!恐ろしや!


殺せ!殺せ!俺を!!

い章の自分が蘇る。

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